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夏の不調〈五臓の「心」と汗の関係〉~漢方相談薬局便り~

夏は「心」

東洋医学では、体の機能を肝、心、脾、肺、腎の五臓に分けていますが、夏は五臓の中の、「心(しん)」の活動が盛んな季節です。

心は、日本ではこころとも読みますが、「心」とは心臓だけでなく、精神、意識なども含めた身体の機能をさします。血脈を主り、神志(しんし)を主ります。
この神志というのが、人の精神、意識活動のことで、心は血液循環だけでなく、精神活動の維持や調節を担っています。西洋医学で言う、脳の機能も含まれます。心のバランスを崩すと、動悸などの症状だけでなく、不眠といったサインが出やすいです。
心は生命活動の中心になるので、五臓の中で最も重要ともいえます。

心の液は汗

緊張したり、心臓がドキドキすると汗が出ることからも、心と汗が関連することは想像しやすいと思います。
今年は早くも猛暑になり、毎日汗だくになっている方も多いのではないでしょうか。
夏場に暑熱の邪気にあたり、汗をかきすぎると、身体にとって大事な水分である、津液が失われ傷つくので、身体の熱が上がります。いわゆる熱中症です。

予防には、梅雨時の頭痛にも効果的な、「五苓散」も使われます。身体の水分バランスを整え、水の偏りを改善するので、水分を過剰に失うことを防ぐことができます。

熱中症まではいかなくても夏バテの場合に効果的な漢方薬は「清暑益気湯」です
夏に特有の暑邪に対して暑さを冷まして失われた津液やエネルギーを補ってくれる漢方薬です。

漢方相談では、多汗症でお悩みの方の相談を受けることがあります。
運動してたくさん汗をかくのは正常ですが、何もしていないのに出る汗は身体のバランスの崩れのサインです。
日常生活にも支障がある場合、西洋医学的には手術などの方法もありますが、つらい方は、漢方的体質改善を検討してみてはいかがでしょうか。

汗かきも様々で、暑がりで汗かきという方ももちろんいますが、意外と、冷え性なのに汗かきという方が少なくありません。このような方は、汗の穴を開閉する力が弱いことで、漏れ出していることが考えられます。また、更年期のホットフラッシュに伴う汗、寝汗などは体を冷ますための陰分が不足することで起こることが多いです。

あきらめていた汗かき体質も、以前はなかった更年期症状も、ご自身に合った漢方で楽に過ごせるようになるように、ぜひ一度ご相談ください。

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記事執筆・監修

国際中医師(国際中医専門員) 漢方薬・生薬認定薬剤師 

植野典子

<セラピア薬局薬剤師>
セラピア薬局は東京、池袋にある漢方相談、保険調剤を行う薬局です。自然の生薬を扱い、セラピアの名前のように、癒しになれるように関わりたいと思っています。

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