漢方薬・生薬

ストレス性の胃炎に効く安中散加茯苓(アンチュウサンカブクリョウ)

ストレスが原因で、キリキリと胃が痛む…。

安中散加茯苓(アンチュウサンカブクリョウ)は、そんな時に役立つ漢方薬です。

今回は、その効能や副作用についてご紹介します。

漢方医学で考える胃腸の働き

胃腸
胃腸は、食べ物を分解して、栄養素を吸収する働きを持っています。

吸収された栄養素は、エネルギー源として作り替えられ、体のすみずみに運ばれ利用されます。

漢方の考え方で、胃腸にあたるのは「脾胃」です。脾胃はエネルギーである「」を産生する臓腑として位置付けられていて、体調を維持するためにこの胃腸の働きを整えることはとても大切です。

胃腸はとてもデリケートな臓器です。

ストレスや食生活の乱れ、不規則な生活などの要因によってトラブルを起こします。

胃の血行が悪くなったり、自律神経のバランスが乱れると、食べ物を消化する働きが低下したり、胃酸が出すぎたりします。

安中散加茯苓の効能・効果

漢方
安中散加茯苓は、胃腸薬として汎用されている「安中散(アンチュウサン)」に、水分代謝を改善する働きのある「茯苓」を加えた製剤です。

神経過敏で、胃痛や腹痛、胸やけがある方の神経性胃炎、慢性胃炎を改善する効果があります。

体力は中等度以下の方に向いている漢方薬であり、特に次のような症状を改善します。

  • ・神経が過敏になっている
  • ・胃痛・腹痛がある
  • ・胸やけ、げっぷ、胃もたれがある
  • ・食欲不振である
  • ・吐き気や嘔吐がある

安中散加茯苓の配合生薬

漢方
安中散加茯苓の配合生薬は、8種類です。

桂皮(ケイヒ)

クスノキ科ニッケイの樹皮または枝を乾燥させたものです。

「気」の巡りを整えて発汗によって体表の毒を取り除く働きをします。

また、解熱・鎮痛作用、血行促進作用、抗血栓作用もあります。

延胡索(エンゴサク)

ケマンソウ科エンゴサクの塊茎の外皮を取り除き乾燥させたものです。

止痛、血行促進作用があります。

また、腹痛、胸痛、月経痛、打撲通などの痛みの改善にも用いられます。

牡蛎(ボレイ)

イタボガキ科カキの貝殻です。

鎮痛・鎮静作用があります。

茴香(ウイキョウ)

セリ科ウイキョウの果実を乾燥させたものです。

消化促進作用があります。

また、血行を促進し、利尿作用もあります。

甘草(カンゾウ)

マメ科のカンゾウの根茎を乾燥させたものです。

疼痛緩和作用と、炎症を和らげ、緊張を緩める作用があります。

縮砂(シュクシャ)

ショウガ科シュクシャの熟成果実の種子を乾燥させたものです。

身体をあたためで、胃腸の働きをととのえる働きがあります。

良姜(リョウキョウ)

ショウガ科コウリョウキョウの根茎を乾燥させたものです。

胃腸をあたためる働きがあります。また、気や血行を促進させてくれる作用を有します。

茯苓(ブクリョウ)

サルノコシカケ科キノコの菌核です。

精神や神経を安定させる働きがあります。鎮静作用、利尿作用もあります。

安中散(アンチュウサン)とはどう違うの?

疑問
安中散は、「漢方胃腸薬」の基本となる薬剤です。

ストレス胃の心窩部の痛みや腹痛に悩み、胃が弱く甘いものを好む、冷え性気味の人に向いています。

安中散の名前には、「中(胴体の中心部、おなか)を安らかにする」という意味があります。

その安中散に、「茯苓」が加味されたのがこの「安中散加茯苓」です。「茯苓」には、上記で確認したように、神経を鎮める作用、さらには利尿作用があります。

また、健脾、滋養、鎮痛、血糖降下作用も有しています。

安中散を基本処方とし、様々な種類の漢方薬があります。

自分にあったものを見つけると良いでしょう。

ストレスによる胃炎に用いられる他の漢方薬

漢方

柴胡桂枝湯(セイコケイシトウ)

胃やお腹が痛み、吐き気・食欲不振・肩こりをともなうようなストレス胃に用いられます。

神経質傾向の方に向いている柴胡(サイコ)と桂皮(ケイヒ)、上腹部痛や首・肩こり、筋肉の緊張を緩和する芍薬(シャクヤク)と甘草(カンゾウ)など、ストレス胃の症状を軽減する生薬で構成されています。

芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)

この漢方薬は頓服としてよく利用されます。

ストレス性の胃痛は、胃の筋肉が緊張し血流が少ない状態です。

また、胃が痛むと心窩部や肩の筋肉が緊張し、コリや痛みを伴います。

このような筋肉の緊張を弛緩させる作用があるのが芍薬(シャクヤク)です。

芍薬は、腹痛や腹部膨満感を改善する漢方薬であり、甘草(カンゾウ)と組み合わせて用いられます。

その代表的な処方が、芍薬甘草湯です。

安中散加茯苓の服用時の注意点

注意

飲み方

通常、1日2~3回に分けて食前または食間の空腹時に服用します。

1か月程度服用し、効果を判定してください。

お湯に溶かして飲む方法が一番良いとされていますが、吐き気に対して使う時はそのまま飲んだ方が良いでしょう。

また、生薬成分の「牡蠣」は、炭酸カルシウムを含んでいます。

この炭酸カルシウムは、食前に飲む方が言のムカムカを取り除くには効果的だと言われています。

副作用などの安全性

安中散加茯苓は、体力が充実している方には向きません

さらに、食べ過ぎ、飲みすぎからくる胃腸の痛みにも効果は期待できません。

副作用としては、発疹、発赤、かゆみなどが報告されています。

また、配合生薬の「甘草」の大量摂取により、むくみを生じたり、血圧が上昇する偽アルドステロン症と呼ばれる症状が出る可能性もあります。

複数の処方を併用する際には、注意が必要です。

ごく稀にこのような副作用が発生しますので、服用開始後は体調の変化に気を付けておいてください。

まとめ

ストレスによる胃痛、胃炎に有効な「安中散加茯苓(アンチュウサンカブクリョウ)」について紹介しました。

上手に漢方薬を利用し、ストレスと付き合うことが大切です。

なお、ストレス性や神経性胃炎は、「このくらいで病院に行く必要はない」と自己判断してしまいがちです。

しかし、痛みを放置すると日常生活に支障をきたしてしまうだけでなく、深刻な病変に進行してしまう可能性もあります。

安易に自己判断せずに、時には専門家の適切な治療を受けることも大切です。

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記事執筆・監修

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漢方生薬 研究所

漢方生薬研究所のスタッフによる執筆・監修記事です。漢方をはじめ、第二類医薬品や第三類薬品、健康食品、サプリメント、遺伝子検査の情報を配信しています。

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