漢方薬・生薬

食欲不振な時に…六君子湯(りっくんしとう)の効能効果とは?

大好物を目の前にしても食欲がわかない、食べていないのにお腹が空かない、そんな食欲不振の症状は、経験がある方も多いでしょう。

ここでは、そんな食欲不振のときに用いられる六君子湯について、効能効果や使用上の注意についてお伝えします。

また、漢方の服用以外にも、簡単にできる対策もご紹介しますので、さっそく取り入れてみてください。

漢方医学から考える食欲不振の原因


漢方医学では、胃に過剰な水分がたまっていて腸に内容物を送ることができない状態を、「胃内停水(いないていすい)」といいます。

このような状態のときに、食欲不振に陥りがちです。

また食欲不振は、元々体の弱い人が不健康になった状態(虚証)の際に多く出る症状です。

漢方医学では、胃腸の健康状態をとても重視します。

食欲不振をはじめとする胃腸の問題は、さまざまな不調や病気が隠れている場合があり、早急な対処が必要と考えられています。

また、食欲不振の状態が長く続くと、身体に必要な栄養が不足してしまって元気に過ごすことができない、ということにもなりかねません。

ですから、できるだけ早く食欲不振の状態を解消したいですね。

そんなときによく用いられる漢方薬、六君子湯についてご紹介していきます。

六君子湯とは?

六君子湯は中国の複数の医学書に記載があり、古くから、虚弱な体質の人の消化不良や食欲不振に用いられてきました。

最近の研究でも、胃の不調に用いる漢方薬として有効であることが知られています。そんな六君子湯について、詳しくみていきましょう。

食欲不振に用いる漢方

六君子湯は、食欲不振に用いる代表的な漢方薬のひとつです。

最近の研究によると、六君子湯には成長ホルモンの分泌を促進させる物質「グレリン」を増加させる働きがあることがわかってきました。

グレリンの増加は、胃腸の調子を整えたり、食欲を増進させたりと、食欲不振の状態を改善する効果が期待できます。

ちなみに、六君子湯以外に「補中益気湯(ホチュウエッキトウ)」「加味帰脾湯(カミキヒトウ)」などが食欲不振に処方されることもあります。

補中益気湯は食欲不振に加えて全身倦怠感などがある場合に用いられ、加味帰脾湯は食欲不振に加えて抑うつや不眠などの精神的な症状がある場合に用いられることがあります。

効能効果

六君子湯は、明らかな異常はないのに胃がもたれるとき、体力の低下や冷えの症状があるときに主に処方されます。

また、胃腸の働きを良くする効果があるので、食欲不振や胃もたれだけではなく、胃痛吐き気お腹のゴロゴロ軟便などにも用いられます。

生薬

六君子湯は、以下の生薬の組み合わせで成り立っています。

  • 蒼朮(ソウジュツ)……キク科の植物で、根を用います。胃腸に良いとされます。
  • 人参(ニンジン)……朝鮮人参とも言われます。体力低下や消化機能が低下しているときに用いられます。
  • 半夏(ハンゲ)……サトイモ科の丸い根を用います。消化を良くする目的で配合されます。
  • 茯苓(ブクリョウ)……キノコの仲間で、水分代謝が良くないときに用いられます。
  • 大棗(タイソウ)……ナツメの果実です。ほかの生薬との組み合わせで消化器を保護する目的で配合されます。
  • 陳皮(チンピ)……みかんの皮です。良い香りのする健胃薬として配合されます。
  • 甘草(カンゾウ)……甘みがあるので、漢方では風味の調整などとしても用いられます。
  • 生姜(ショウキョウ)……漢方では、消化器系を温めたり、食欲を増進させたりする目的で配合されます。

副作用や使用上の注意点

六君子湯の副作用として、まれに吐き気や発疹、蕁麻疹、お腹の張り、下痢などの症状が出ることが報告されています。

このような症状が出たら、すぐに使用をやめて医師の診察を受けましょう。

また、つわりの軽減に用いられることもありますが、希望する場合には妊娠中であることを必ず医師や薬剤師に伝えましょう。

食欲不振には早めに対策を

日常生活で簡単に取り入れられる食欲不振の対策としては、規則正しい生活を心がけて夜更かしをしないことが挙げられます。

ストレスが原因で食欲がないという場合は、趣味など夢中になれることをみつけたり、アロマなどでリラックスしたりするのもおすすめです。

食欲は自律神経系によってコントロールされており、何らかの原因で自律神経系のバランスが乱れると、食欲不振の状態に陥ります。

そのため、疲れやストレスを溜めない生活が有効な対策になるのです。

また、食事の際は食べやすいものから口にしたり、料理の彩りを考えたり盛り付けを工夫してみると、食欲が増すことがあります。

最近は、ゼリータイプや飲料タイプの栄養補助食品も数多くありますので、栄養補給にうまく取り入れるといいでしょう。

まとめ


人間にとって「食べる」ということは、生きていく上で欠かせない行為です。

身体に必要な栄養素が摂取できなくなると、さらに大きな不調につながることも考えられます。

食欲不振の状態をそのままにせず、六君子湯や今回紹介した方法をうまく取り入れてみてください。

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記事執筆・監修

国際中医薬膳師/調理師(ハラール認証)/医薬品登録販売者/フードコーディネーター2級/マスターオーガニックコーディネーター/オーガニックコスメマイスター/加工食品診断士

當房 清香

医薬品登録販売者としてOTC薬(市販薬)を販売する業務に就く傍ら、健康や薬に関する記事ライターとして活動。
調理師やフードコーディネーターの資格を保有し、更にはオーガニック・薬膳・食品添加物に関する資格も持っており、料理研究家。
「自分の未来は、現在カラダに取り入れているものでつくられていく」
ことを幅広い視点でお伝えしている。
元裁判所書記官であるが、妊娠・出産を機に転身し現在に至る。

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