漢方薬・生薬

目の疲れが気になる時に!杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)

パソコンやスマートフォンを見ていると、ついつい夢中になってしまい、目を酷使してしまう方も多いかと思います。

目がかすむ、ピントが合いづらい、乾燥してまばたきが増える、というのは目が疲れているサインです。

そんなときにおすすめしたい、杞菊地黄丸についてご紹介します。

また、自宅で簡単に取り入れられるケア方法についても、お伝えしていきます。

目の調子は「肝」「腎」が関係している?


中医学で、「肝は目に開竅する」と言われます。

開竅(かいきょう)とは、「反映される」という意味です。

つまり、肝の機能状態が目に反映される、ということを指しています。

また、中国の古典「医級」には「肝腎が不足すると、目がかすんだり、物がぼやけて見えたりする」という内容が書かれており、中医学では、目の不調は肝や腎の働きが弱っている証拠、と考えていることがわかります。

ですから、目が疲れているときは肝や腎の働きを高めることが大切なのです。

そこで、肝腎の働きを良くして目の疲れにもおすすめの杞菊地黄丸をご紹介します。

杞菊地黄丸とは?


杞菊地黄丸は、腎の働きを助ける六味丸(ロクミガン)に枸杞子(クコシ)と菊花(キクカ)という生薬を加えた漢方薬です。

一般的に「目にいい」と言われる漢方薬の「杞菊地黄丸」について、詳しく見ていきましょう。

効能効果

体力が中等度以下で、顔と手足だけが火照る、尿の量が少ない・または多い、口が渇く、疲れやすいなどの症状がある方の、目の不調や症状を回復するために処方されます。

具体的には以下のような症状に効果が期待できます。

  • かすみ目
  • つかれ目
  • 視力低下
  • のぼせ
  • 頭重(頭が重い感じ)
  • めまい
  • 排尿困難
  • 頻尿
  • むくみ

生薬

杞菊地黄丸に配合されている生薬は以下のとおりです。

  • 地黄(ジオウ)……ゴマノハグサ科の根を蒸して乾燥したもので、肝腎の衰えに伴う症状に用います。
  • 山茱萸(サンシュユ)……クコの実に似た果実で、肝腎にいいとされます。
  • 山薬(サンヤク)……山芋のことです。滋養強壮を目的に配合されています。
  • 沢瀉(タクシャ)……オモダカ科の植物の根茎で、水分代謝低下があるときに用いられます。
  • 茯苓(ブクリョウ)……キノコの仲間で、こちらも水分代謝が良くないときに用いられます。
  • 牡丹皮(ボタンピ)……牡丹の根の皮です。熱感があるときや、血流を良くする目的で用いられます。
  • 枸杞子(クコシ)……クコの実です。ゴジベリーともいい、杏仁豆腐などでおなじみです。
  • 菊花(キクカ)……その名のとおり、菊の花です。刺身のツマにも用いられますが、目の充血に良い生薬です。

枸杞子と菊花は、それだけでも「目によい」とされる生薬です。

枸杞子をヨーグルトに入れたり、菊花茶を作ったりして日頃から取り入れてみるのもおすすめです。

副作用や使用上の注意点

杞菊地黄丸を服用すると、皮膚に発疹かゆみが出る、食欲がなくなるお腹の調子が悪くなるといった症状が出る場合があります。

また、服用後に下痢の症状が現れることがあり、これらの症状が確認できた場合は服用を中止しましょう。

もとの症状が1ヶ月服用しても改善されない場合も同様です。

上記のような場合には、服用を中止した上で、医師、薬剤師または医薬品登録販売者に相談しましょう。

目が疲れたときの対処法


普段からできる目の疲れの対処法を見ていきましょう。

読書やテレビの視聴、パソコンやスマートフォンの画面を見つめるなど、何かを凝視していることが多いと、まばたきの回数が少なくなってしまい、目が乾燥しがちです。

このようなとき目の疲れを感じやすくなります。

目を疲れにくくするためには、ブルーライトカット等の加工がされた眼鏡を使用するのがおすすめです。

「目が疲れてきたな」と感じた時に簡単にできる対処法は、その場でしばらく目を閉じることです。

目を閉じることで、目の筋肉を休ませることができます。

目を閉じた状態で、目頭の上あたり、こめかみ、眉毛の下にあるくぼみなどを軽くマッサージするのもおすすめです。

また、目とその周辺にはたくさんの血液が流れているので、温かいアイマスクなどで目の周りを温めると楽になります。

蒸しタオルを作るのもいいですし、酸素に触れると温まる仕組みのホットアイマスクなどを活用するとよいでしょう。

杞菊地黄丸についてまとめ

杞菊地黄丸は、目に特化した漢方薬で、疲れ目に良いとされる枸杞子と菊花を配合しています。

パソコンやスマートフォンはなくてはならないツールになっていますが、これらの便利なツールとうまく付き合いつつ、酷使した目をいたわって日々過ごしたいですね。

ここで紹介した、簡単に取り入れられる対策を試しつつ、一晩寝ても疲れ目がよくならないという場合には、ぜひ杞菊地黄丸を試してみてはいかがでしょうか。

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記事執筆・監修

国際中医薬膳師/調理師(ハラール認証)/医薬品登録販売者/フードコーディネーター2級/マスターオーガニックコーディネーター/オーガニックコスメマイスター/加工食品診断士

當房 清香

医薬品登録販売者としてOTC薬(市販薬)を販売する業務に就く傍ら、健康や薬に関する記事ライターとして活動。
調理師やフードコーディネーターの資格を保有し、更にはオーガニック・薬膳・食品添加物に関する資格も持っており、料理研究家。
「自分の未来は、現在カラダに取り入れているものでつくられていく」
ことを幅広い視点でお伝えしている。
元裁判所書記官であるが、妊娠・出産を機に転身し現在に至る。

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