ここ最近、急に気温が下がりましたね。
暑すぎる長い夏が続いていた今年ですが、秋らしくなったと思ったら、すぐ冬の到来です。
それもそのはず、立冬も過ぎて、暦はもう小雪、地域によっては霜がおりはじめています。
寒くなってくると、いよいよトイレが近くなって困る!という方、多いのではないでしょうか。急な尿意に我慢ができず、不安な方もいると思います。
頻尿でお悩みの方は、実はとても多いのです。
過活動膀胱だけでも約1000万人、夜間頻尿では、4000万人とも推定されています。
50才以上で特に多いですが、20代や30代でもお悩みの方がいます。
冬は「腎」に関連する症状に注意
冬は腎の季節なので、泌尿器系に特に注意が必要です。
中医学では腎は、水を主る臓です。全身の水を代謝し、排泄する機能があります。
腎は大小便の出口に深く関連し、腎気には漏れ出さないようためておく力があります。
生まれ持った先天の気をつかさどるため、年齢とともに衰えるところでもあります。
年齢とともに、トイレが近くなり、特に夜トイレに起きてしまう夜間頻尿に悩まされる方も多いですが、年齢を重ねて起こる排尿トラブルは、腎の衰えも関係していることが多いです。漢方薬では腎を補う代表的方剤、八味地黄丸や、六味地黄丸などが使われます。
もともと冷えがあり、冬や冷えた時に、すぐトイレに行きたくなってしまう方は、身体を暖める力が弱くなってしまっていると考えられます。冷えている方の尿は薄く透明に近いです。腎が原因であれば、八味地黄丸が効果的ですが、胃腸が弱い、下痢をしやすい方は、他の漢方薬が適していますので、ご相談ください。
他にも、頻尿の原因は様々…
もちろん、頻尿の原因は腎だけではありません。過活動膀胱では急に尿意が来て我慢できなくなるといったケースがありますが、ストレスがきっかけでトイレが近いケースもよく見かけます。トイレが気になって、尿意がなくても行っておくようになり、さらに悪循環になる場合もあります。
感情やストレスなどで症状が変化する方は、自律神経を司る「肝」や、精神をつかさどる「心」を整えると緩和することが多いです。合う漢方薬は、症状や体質によりさまざまなので、ぜひご相談ください。
また、膀胱炎などの炎症により、急に頻尿になることもあります。
冬になると水分摂取が減り、また冷えて流れが悪くなりやすいので、膀胱炎を起こしやすいです。症状や状態により、猪苓湯、五淋散などが使われます。
一つ気を付けていただきたいことは、水分の取り方です。適度な水分摂取は大切なのですが、飲みすぎると腎に負担をかけ、かえって頻尿につながります。ガブガブ飲むのではなく、人肌以上の温度の水分を、適度にとることを心がけましょう。
「トイレが近い」「頻尿」と一口に言っても、症状も背景も漢方的原因も、人それぞれで、色々な原因が絡み合っていることも多いです。
トイレの問題というのは私たちの生活の質(QOL)に大きく影響します。
日常生活で気になってしまう方や、睡眠に影響が出ておつらいような場合は、少しでも楽になってQOLをあげていければいいですね。ぜひご相談ください。