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コロナ禍で運動不足が問題に!漢方のアプローチや解消法とは?

新型コロナウイルスの流行でテレワークが普及したことで、「外出しなくなった」「運動しなくなった」という方も多いのではないでしょうか?

実際に1日当たりの平均徒歩量・活動量は大きく下がっています。

運動不足は、糖尿病や高血圧をはじめとする生活習慣病の発症リスクを上げるため、看過できない問題です。

今回は、コロナ禍で問題となる「運動不足」に焦点を当て、考えられる健康被害と解消法を解説します。

コロナ禍で運動不足が問題に

コロナ禍での自粛生活を続けたことで、心身に大きな変化があった方も多いでしょう。

長期にわたり外出を控えることになった結果、運動不足やストレスから身体的及び精神的な健康が脅かされる健康二次被害も懸念されています。

コロナ禍における健康二次被害とは?

新型コロナウイルスによる「おうち時間増加=運動不足」に伴い、健康二次被害として生活習慣病の発症リスクが高まることが問題視されています

例えば 、運動不足により以下のような状態になることが予想できます。

・パターン1

①体力、筋力が落ちる

②ちょっとした動きで疲れるようになる

③余計に動かなくなり体重が増える

④狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの生活習慣病の発症リスクが増加する

・パターン2
①体力、筋力が落ちる

②疲れやすくなり、疲労感が現れる

③ストレスが溜まり、イライラしやすくなる。情緒不安定になる

それだけではなく、姿勢が悪くなる、集中力が落ちる、筋力が落ちることでケガをしやすくなる、関節が硬くなることで運動能力が下がるなど、これらは全て「健康二次被害」に当てはまります。

運動不足と心の関係

運動は、体だけでなく心の健康にもつながっています。

運動をすると気分転換やストレス解消になるため、メンタルの不調を改善するのに有効なのです。

これは、精神安定、抗ストレスに関係があるとされている「セロトニン」や「エンドルフィン」というホルモンが運動時に分泌されるからです。

運動不足によりセロトニンやエンドルフィンの分泌が不足すると、イライラしたり怒りっぽくなったり、うつ病や不眠症など様々な問題が発生しやすくなります。

運動不足の問題へ漢方がアプローチ


運動不足による様々な問題は、漢方の力で解決できる場合があります。運動不足による症状で、漢方が効くと考えられるのは以下の通りです。

肩こり改善

漢方では、肩こりは血流の滞りが悪くなる「瘀血」「気鬱」によって生じるとされています。

肩こりに効くとされている漢方は以下の3種類です。

なお、漢方は肩こりの症状だけでなく、手足の火照りや冷え、肌の状態、胃腸の状態なども含め判断・処方されます。

①葛根湯
葛根湯はよく風邪のひき始めに処方される漢方薬ですが、肩こりや関節痛の改善にも効果があります。

血管を拡張し上半身の血流を促進させるため、首から背中に生じる張ったような肩こりの改善に即効性があります。

②二朮湯
五十肩に効果的です。主に体力が中等度の人に処方されます。

③桂枝二越婢一湯
痛みが伴う肩こり、関節痛の症状があり、冷えのぼせ、のどが渇きやすい、汗っかきという方に適した漢方薬です。

特に痛みが激しい場合や、日中よりも夜間にかけて痛みが増してくる場合に有効です。

便秘解消

便秘は気・血・水」のなかの「水」が不足した便秘と、ストレスや緊張による「気」の異常による便秘、「血」の滞りが悪くなったことで起こる(瘀血)便秘で、処方される漢方薬が異なります。

①大黄甘草湯
虚実にかかわらず、便秘の訴えがあれば使うことができる漢方薬です。

大黄由来のセンノシドは、弛緩性便秘に対して腸の蠕動運動による便通効果をもたらします。

②潤腸湯
体全体を潤しながら腸管内の乾燥を取ることで、便に潤いを与えて便秘を解消する漢方薬です。

虚証の人に多い「燥証の便秘」といわれるタイプに適しています。

③桃核承気湯
月経時にイライラが止まらない便秘症の女性に効果的です。

冷えのぼせを感じる熱証に用いる漢方薬のため、手足の冷えを強く感じる人には向いていません。

生活習慣病の予防

運動不足は肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧症などの生活習慣病のリスクを高めます。

生活習慣病予防に良い漢方薬もあるので、2種類ほどご紹介します。

①大柴胡湯
大柴胡湯は、高血圧や肥満に悩む人に処方されることがある漢方薬です。

前提として、わき腹からみぞおちの間が張って苦しい状態が認められる場合に処方されます。

特に便秘でお腹が張っているような場合、その他にも、肩こり・頭痛・胃炎・神経症などの治療に用いられます。

②桃核承気湯
桃核承気湯は、血液循環を改善し「瘀血」を改善する漢方薬です。

体力があり肥満体質でのぼせがち・便秘がちな人の、生理不順・便秘・高血圧による頭痛やめまいなどに処方されます。

身体を動かしリフレッシュ

ここまで漢方を紹介してきましたが、体を動かすこともやはり大切です。

テレワークでずっと座ったままだと、どうしても筋肉は落ちてきます。

また、同じ姿勢を続けていると体の筋肉が硬くなってしまい、肩こりや腰痛などに繋がる可能性もあります。

まずは1日5分だけでもいいので、意識的に体を動かすようにしましょう。肩こりや腰痛予防になり、気分もリフレッシュします。

自宅でできる簡単ストレッチ

「外に出るのは面倒」「なかなか時間が作れない」という方は、まずは自宅で簡単にできるストレッチから始めてみましょう。

①肩甲骨ストレッチ
1.肘を曲げ両手を両肩に置く
2.ゆっくり肘で円を描くように前に10回回す
3.同じように後ろにも10回回す

起床後やパソコン業務の合間など、肩の血流を改善させたい人におすすめのストレッチです。手を肩から離さないで、できるだけゆっくり、大きく回すように意識しましょう。

②体側を伸ばすストレッチ
1.両足を肩幅に開いた状態で立つ
2.両手を上に挙げて、左手の先を右手でつかむ
3.息を吐きながら上半身を右に倒す(ゆっくりと左の体側を伸ばす)
4. 2の状態に戻り、体を上方向へ伸ばす(息を吸いながら体を戻す)
5.手を逆にして、反対側も同じようにストレッチ

体側(体の横側)を伸ばして、血流を良くするストレッチです。

腸が刺激を受けるため、便秘解消にも効果的。体が前傾しないように意識しましょう。

まとめ

新型コロナウイルスによって外出が減り、運動不足やそれによる健康二次被害が問題視されています。

今までのように自由に運動することは難しいかもしれませんが、自宅でできる簡単な運動を取り入れ、新しい運動習慣を身につけてください。

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記事執筆・監修

国際中医薬膳師/調理師(ハラール認証)/医薬品登録販売者/フードコーディネーター2級/マスターオーガニックコーディネーター/オーガニックコスメマイスター/加工食品診断士

當房 清香

医薬品登録販売者としてOTC薬(市販薬)を販売する業務に就く傍ら、健康や薬に関する記事ライターとして活動。
調理師やフードコーディネーターの資格を保有し、更にはオーガニック・薬膳・食品添加物に関する資格も持っており、料理研究家。
「自分の未来は、現在カラダに取り入れているものでつくられていく」
ことを幅広い視点でお伝えしている。
元裁判所書記官であるが、妊娠・出産を機に転身し現在に至る。

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