当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)の効果・効能!どんな漢方薬?
漢方薬を探しているときによく目にするのが当帰芍薬散という薬です。
未病に効果があるとされていますがどんな風に効くのか、どういった効果があるのか詳しく知っている人はあまりいません。
なんとなく体に良いと聞いたから使っているなんて言う人も。
そこで今回は、当帰芍薬散とはどんな漢方薬なのか、詳細に紹介していきます。
漢方薬について
漢方薬は人体を構成する3要素のバランスを整える働きをしてくれます。
漢方薬は2種類以上の生薬を組み合わせて作られていて、1つの漢方薬で嘔吐や下痢、動悸など様々な症状に効果があります。
これが漢方薬最大の特徴で、他のくすりでは見られない最大のメリットです。
そんな漢方薬の中でもとくに有名なのが当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)という薬です。
次は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)について詳しくご説明します。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)とは?
漢方薬の中でも特に有名で、目にすることも多いのがこの当帰芍薬散という薬です。
なぜ有名なのか、それは当帰芍薬散の持つ薬効に隠されています。
当帰芍薬散は先程ご説明した人体を構成する3要素「気・血・水」の全てに異常に強いのです。
つまりとりあえずこの漢方薬を飲んでおけば間違いないというわけです。
漢方薬の場合は体力のある人、普通程度の体力の人、あまり体力のない人(虚弱)と分類されます。
当帰芍薬散は服用できる薬が限られるあまり体力のない人(虚弱)でも服用できる薬なのです。
これが多くの人に選ばれている理由の一つです。
次は当帰芍薬散が効く症状を3要素ごとに詳しく解説します。
気の症状
ホルモンバランスを整える作用があり、強いストレスや更年期によって起こるホルモンバランスの乱れに効果があります。
意味もなくイライラしたり強いストレスを感じる人にはピッタリです。
さらに出産前後の不調にも使われていて、足りないパワーを補う働きがあります。
疲労感や倦怠感を感じるのであれば元気の補充のために服用してみてください。
血の症状
身体を温めて血の流れを良くする効果があります。
体の冷え(冷え症)や貧血、月経不順、重い月経痛に適していて、お血(おけつ)と血虚の両方に効果があります。
その有効性は「産婦人科の三大漢方薬」と言われるほどで、女性の多くが悩みを抱えてしまう症状には特に効果があります。
また男性の方でも貧血に悩んでいたり手足の冷えが気になる場合は服用しても大丈夫です。
水の症状
水の乱れで起こるむくみやめまい、耳鳴りの治療薬としても使用されます。
中でも水の乱れで悩みが多いのが「むくみ」でしょう。
むくみは長時間同じ姿勢でいると起こりやすく、慢性化しやすいのが特徴です。
当帰芍薬散は血行と共に水分循環を良くしてくれるので、手足の末端に溜まりがちな水分も体中を循環してくれます。
また口が乾燥しやすい人や乾燥肌体質の人にも有効で、風邪の予防薬としても効果があります。
用法・容量を守ってしようすればこのように様々な症状や機能を回復させる効果があるのです。
当帰芍薬散に配合されている生薬
さっそく当帰芍薬散に配合される生薬一つ一つの性質をみていきましょう。
当帰(トウキ)
当帰(トウキ)はセリ科トウキ属植物の根を乾燥させたものです。
主な生産地は中国や朝鮮半島ですが、日本国内では和歌山県高野町富貴地区を中心に栽培されています。
痛みを鎮める効果があり、鎮痛剤として使われています。
主に生理痛や関節痛と言った痛みを伴う症状を訴える人向けの漢方薬に配合されています。
血液の循環を活発にする働きもあるので、体を温める効果も期待できます。
川キュウ(センキュウ)
川キュウ(センキュウ)はセリ科センキュウのひげ根を除いた根茎を、湯に通した後に乾燥させたものです。
日本にも生息していて、日本で生薬として使われているもののほとんどが国内産です。
女性に多い冷え症、貧血、補血効果があるとされています。
他にも鎮痛作用があり、月経障害の薬に多く含まれています。
強壮作用があるので体力のない虚弱な人向けの漢方薬に配合されてる場合が多いです。
芍薬(シャクヤク)
美しい女性の容姿や立ち居振る舞いを花に例えたことわざ「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」でも登場するボタン科シャクヤクの根を乾燥させたものです。
主に筋肉の硬直を和らげる効果があるとされています。
肩こりや腹痛に有効とされていて、冷え症の改善薬に多く含まれています。
整腸作用もあるので水便の症状が現れている場合は芍薬入りの漢方薬がオススメです。
蒼朮(ソウジュツ)
蒼朮(ソウジュツ)はキク科ホソバオケラの根茎を乾燥させたものです。
中国原産の多年生草本で、江戸時代に種苗が渡来し栽培がスタートしました。
薬能としては水の乱れに効果があるとされています。
水分の代謝を高め、むくみや耳鳴りを鎮めてくれます。
更に頻尿や多尿にも効果があるので更年期障害の薬に良く配合されています。
沢瀉(タクシャ)
沢瀉(タクシャ)はオモダカ科サジオモダカの塊茎を乾燥させたものです。
里芋のような見た目をしていて、現在は中国の四川・福建省、韓国で栽培されています。
水に効果のある生薬で、めまいや利尿作用があります。
尿が出にくい場合や口の渇きがある人にはピッタリの生薬です。
また、風邪の予防としても効果があります。
茯苓(ブクリョウ)
茯苓(ブクリョウ)はアカマツやクロマツの根に寄生するサルノコシカケ科のマツホド菌の菌核を乾燥させ、外皮を剥いたものです。
蒼朮と沢瀉と組み合わせることでめまいやむくみ改善効果を高める作用があります。
茯苓自体も鎮静作用、利尿作用、筋肉の異常に効果があります。
生理痛やホルモンバランスの乱れによる精神神経症状にも効果があります。
漢方医学での体の仕組み
ここからは漢方医学の基本的な知識から詳しく解説していきます。
漢方医学では人体は「気・血・水」これらの3要素で構成されていると考えられています。
気(き)は目に見えないが確かにそこにある生命エネルギーで、元気に過ごすには欠かせないものです。
血(けつ)は文字通り血液のことで、全身の組織や器官に栄養を運ぶ重要な役割を果たしています。
血が一番関係しているものは生理ですが、生理は気が血を集めて起こることが原因と言われています。
重い生理痛に悩む人は気と血のバランスが上手く保たれておらず、痛みが出ていると考えられています。
そして最後の水(すい)は飲食物に含まれている水分で、体を潤すのに必要不可欠なものです。
この3要素が上手くバランスを取り合っている状態が健康的な体というわけです。
先程生理を例に出したようにこのバランスが崩れると人体に異常・不調が出てきます。
次は「気・血・水」のバランスが崩れた場合に起こる症状を見てみましょう。
気が乱れた場合
気は人間の生命エネルギーです。
この気が乱れるとイライラしたり無気力、疲労感、食欲不振、不眠 等といった症状が現れます。
これは現代人の多くが抱える現代病の一種で、激しいストレスや多忙から引き起こされると言われています。
気の乱れが慢性化するとうつ病を発症してしまうので速やかに治す必要があります。
また、月経によるホルモンバランスの乱れが気の乱れを招くケースもあります。
神経が高ぶる時に処方される漢方として、抑肝散(ヨクカンサン)というものがあります。
この漢方は小児用の漢方とも言われていますが、大人の方が服用しても問題ありません。
抑肝散(ヨクカンサン)とは?生薬や効果・効能副作用を知っておこう
こちらの記事に詳しく書いてあるので、参考にしてみて下さい。
血が乱れた場合
血の乱れにはお血(おけつ)、血虚(けっきょ)などがあります。
お血は血行不良を表し、主に月経異常や、月経前症候群(PMS)や重い生理痛、生理不順といった症状がでることがあります
血虚は血の不足を表し、主に貧血や皮膚の乾燥などの症状がでることがあります。
どちらも女性に多い症状なので、月経といった女性特有の症状改善には血の乱れを整えてくれる漢方薬がオススメです。
月経に効く漢方は症状によっておすすめの漢方があります。
月経前症候群(PMS)は漢方薬で症状に合わせて簡単に改善できる
の記事で詳しく説明していますので、合わせて参考にしてみて下さい。
水が乱れた場合
水の乱れは水毒や水滞と言われています。
主にむくみ、めまい、頭痛、水便といった水分が絡む症状が水の乱れによって引き起こされると言われています。
それぞれ症状にあった漢方の記事をリンクにしてありますので、参考にしてみて下さい。
水の乱れは血の乱れと共に起きやすく、女性の多くが悩む月経関連の症状に効果があるとされている漢方薬には水の乱れも整える作用があるものが多いです。
水単体で乱れるケースは少なく、何かの関連症状として現れる場合が多いのが特徴です。