四君子湯(シクンシトウ)は下痢に効果あり、生薬や注意点を見てみよう
四君子湯は虚弱体質の方に処方され、下痢や胃腸のトラブルに効果を発揮する漢方薬です。
今回はこの四君子湯について詳しく見ていきます。
漢方での下痢とは?
そもそも漢方(東洋医学)では下痢はどのように考えられているのでしょうか?
まず、胃に入った食べ物や飲み物は小腸から膀胱へ行き尿として排出されたり、小腸から大腸に行くと便になります。
この小腸→膀胱、大腸→大腸の流れが順調に行われていないと、便秘や下痢になり、その原因は体内の「水」のバランスが崩れていて、水が体から異常に出ていることと考えられています。
この水が乱れる原因は
- 食中毒
- ストレス
- 暴飲暴食
- 冷え
- 体質
などがあげられます。
下痢に効果のある四君子湯とは?
四君子湯とは胃腸の水分の停滞を改善し、胃腸を元気にする効果があり慢性の胃炎、胃もたれ、下痢、嘔吐に効果があります。
また
- 痩せている
- 顔色が悪い
- 食欲がない
- 疲れやすい
といった虚弱体質の方に対して使用されます。
お腹が普段からゴロゴロする、水っぽくチャポチャポする方に有効です。
似たような効果をもつ漢方で、六君子湯がありますが、四君子湯は疲労感や食欲不振からくる下痢や胃腸のトラブルに使用されるのに対し、
六君子湯は腹部の張りがあるときに処方されます。
四君子湯は、体力のない方に投与して、気を補い胃腸を元気にすることを目的として処方されます。
四君子湯に含まれている生薬情報
ここでは四君子湯に含まれている生薬について見ていきましょう。
①人参(にんじん)
ウコギ科チョウセンニンジンの根を乾燥したもので、日本でも栽培されています。
体を温め、新陳代謝を促進して衰弱している胃を改善します。腸を元気にする作用や鎮痛作用に優れていて消化不良・下痢・発熱・寒気に用いられます。
②白朮(びゃくじゅつ)
オケラやオオバナオケラの根や茎を乾燥させたものを使い、整腸・利尿、健胃効果があります。
体の中の水分の代謝異常や、消化器系の機能障害に作用します。
③茯苓(ぶくりょう)
サルノコシカケ科のマツホド菌の菌核を乾燥して、外の皮を剝いたものを使用しています。利尿作用に優れていて、体内のミネラル類を増やします。
さらに薬の巡りを良くする効果もあり、老人の慢性の下痢、下腹部痛、生理痛、更年期障害に効果があります。
④甘草(かんぞう)
マメ科カンゾウ属植物の根や根茎を乾燥させたものを使用しています。緊張を緩和させる作用があり、鎮痛、鎮痙、鎮咳に効果を発揮します。
⑤生姜(しょうきょう)
ショウガ科ショウガの根茎を乾燥させたもので、生の生姜を「ショウキョウ」といいます。体を温めて新陳代謝機能を高める作用があり、軟骨を破壊してしまう酵素の生成を抑制する効果もあります。
⑥大棗(たいそう)
クロウメモドキ科ナツメの果実を乾燥したもので、体を温めて緊張を緩和させる作用があります。
下痢で傷ついた消化管を補修・腸の動きを抑制して腹痛を緩和します。胃腸機能が低下している漢方薬によく配合されます。
四君子湯の服用方法
四君子湯の服用方法は、他の漢方薬と同じように、成人なら1日7.5gを2~3回に分けて食前か食間にぬるま湯で飲みます。
この漢方の量は、年齢・体重・症状によって増減され、飲み忘れた場合は気が付いた時点ですぐに飲みます。
しかし、2時以内に食事の時間が来てしまう場合は飛ばし、2回分を一度に服用してはいけません。
四君子湯を服用するときの注意点
最後は四君子湯を服用するときの注意点を書いていきます。
①副作用が出た場合
四君子湯とは、虚弱体質の方でも服用できる漢方なので、比較的に副作用の心配がありません。
しかし、中には発疹や蕁麻疹、さらに下痢が悪化するといった副作用が報告されています。
また重篤な副作用として、尿量が減少したり、瞼が重くなる、手足が浮腫といった偽アルドステロン症や、体がだるくて手に力が入らない、手足がひきつるというミオパチーがあります。
副作用を感じたら服用を中止して、医師の診察を受けましょう。
しかし、副作用が起こるのは稀なので、過度に心配する必要はありません。
②妊娠・授乳中の服用は厳禁
妊娠中や授乳中の方への投与は臨床実験が出来ず、安全性が確率されていません。そのため服用はしない方がいいでしょう。
しかし、どうしても治療を優先しなければならない時には処方されるようです。
まとめ
四君子湯は、元気を補って下痢を改善する効果があることがわかりました。
虚弱体質の方に処方されるので、副作用の心配もあまりありませんが、服用していておかしいなと感じたらすぐ病院を受診して下さいね。
服用方法は医師の指示に従いましょう。