漢方薬・生薬

西洋医学とは大きく異なる漢方の特徴を分かりやすくご紹介!

現在の医学は大きく分けると西洋医学と漢方医学の2種類に分類されます。

私たちになじみ深いのは西洋医学ですが、実は漢方医学は年々注目度が高まっている医学だとご存知でしたか?

漢方医学と聞くと漢方薬が思い浮かびますが、実は鍼灸や整体、薬膳も漢方医学に分類されます。

そこで今回は漢方の特徴についてご紹介します。

意外と知られていない漢方の基本

漢方
そもそも漢方とはどのようなものなのでしょう。

意外と漢方の基礎については知られていなくて、なんとなく体に良いからと利用している人もいます。

ですが漢方がどのようなものか知ることでより漢方を理解し、適切に利用できます。

まずは意外と知られていない漢方の基本から見ていきましょう。

漢方は自然哲学を基礎としています。

自然現象と人体の生命活動は共通している部分があり、人間も自然の一部であると言う考え方をしています。

その自然哲学の元、神羅万象・宇宙のありとあらゆる物事は陰と陽の2種類から成り立っているとする陰陽論へと発展しています。

この陰陽論から詳しく見ていきましょう。

陰陽論(いんようろん)とは?

陰陽論は漢方医学を始めとする東洋の医学の基礎となるもので、非常に重要です。

勾玉が2個くっ付いている太極図を見てみましょう。

陰陽論

出典 : https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%B0%E9%99%BD元

太極図はそれぞれ陰と陽を表し、陰中の陽と陽中の陰を表している点があります。

これは陰と陽が常にバランスを保っていることを表しています。

どちらかが多くなればバランスは失われてしまいますよね。

健康に生活していくのにはこのバランスを保つことが大切なのです。

この陰と陽のバランスが綺麗に保たれている状態を専門用語で「中庸(ちゅうよう)」と言います。

漢方はこの2極のバランスを正常に保つことを主として考えられています。

さらにこの陰陽論から自然界に存在するものは「木・火・土・金・水」の五要素から成り立つとする「五行説」へと派生します。

次は五行説を分かりやすく解説していきます。

五行説とは?

陰陽論からさらに発展した五行説では自然界のものは全て「水・木・火・土・金」の五要素から成り立つとされています。

五行という字は5つの要素が循環するという意味を持っています。

アーユルヴェーダの五大元素と少し似ていますが、それとは違う考え方です。

五行説

出典 : https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E8%A1%8C%E6%80%9D%E6%83%B3

モク カ ド ゴン スイ  と読みます

図のように配置され、水から始まって木・火・土・金と順番に巡っていきます。

これは隣り合う関係は「相生関係」と言い、お互いに促進・助長に作用します。

水があることで木は育ち、木があることで火はよく燃え、燃えた灰は土となり、土の中に金属が得られ、金属の表面には水が生じるという循環サイクルになります。

隣り合わない属性との関係を「相剋関係(そうこくかんけい)」と言い、制約・抑制として作用します。

この五行説は全てに当てはまり、人間の体の仕組みも当てはまります。

更に漢方薬を調合する際にも応用されていて、とても重要な思想と言えます。

漢方薬は、効果が違う生薬を2種類以上組み合わせて作られています。

調合していい組み合わせややってはいけない組み合わせなどを記した書物が薬1800年前に作られていたと言うのですから驚きですね。

漢方最大の特徴

漢方はこのように思想を元として作られてきた医学です。

漢方では病名が付かない「未病」と呼ばれる状態にも対処できます。

様々な検査数値では分からないけれど確かに症状として出ているもので、冷え性や肩こり、眠りが浅い、などが未病に当たります。

病名が付けられないために西洋医学では病気として対処できませんが、漢方の場合はカウンセリングを細かく行い、人間本来の生活習慣に戻してその症状を消していくということができます。

その人のライフスタイルや体質に合わせた生薬の組み合わせや鍼やお灸を利用した物理的な刺激、食生活改善のための薬膳、日常の注意事項として挙げられる養生など健康的な生活を送るために必要なことが漢方医学には全て詰まっています。

これが漢方最大の特徴で、西洋医学との大きな違いです。

もうお分かりかもしれませんが、病気の治療だけではなく予防医療も非常に得意分野であると言えます。

予防医療の重要性

人間は年を重ねると若いころは元気だったのに至る所から不調が出てきます。

最初は僅かな痛みや症状だったのに放置していたら段々深刻なものになって悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

体の異常は進行すれはするほど元に戻すのが難しくなり、最終的に病気になってしまいます。

西洋医学の場合は体の異常の段階、つまり未病であるときに対処はできず病気になってからの対処となります。

ですが、未病の段階で食い止められれば病気にならず健康的な生活を送れますよね。

実は西洋医学でもこの予防医療は重要視されていて、西洋医学の場合は早期発見が重要だと言われています。

漢方の場合は1400年以上も前にこの予防医療の考え方があり、漢方は予防医療に特化しているのです。

では一体漢方はどのようにして未病を発見し、適切な処置をするのでしょう。

次は漢方ならではの診断方法をご紹介します。

漢方ならではの診断方法

東洋医学
漢方は西洋医学の診断方法とは大きく異なる診察をします。

その人の体質や生活習慣など個人の体の状況を知るために例えば主訴が冷え性である場合でも全く関係のない月経の状態を聞いたり治したい症状とは関係のないことを問診することがあります。

これはその人の体質を見極めてその人に一番合う漢方薬を処方するためです。

西洋医学の場合はお腹が痛いと言ったら整腸剤を処方され、関節が痛むと言えば痛み止めを処方されます。

漢方ではその人の状態を表現するものがあります。

それが「証(しょう)」と呼ばれるもので、生命力が弱まって体の機能が低下した状態を「虚証」、有害物によって体の機能が阻害された状態を「実証」と言います。

分かりやすくすると虚証は本来あったものが失われた状態で、実証は必要以上にものが詰まっている状態です。

まさに漢方の基礎となった陰陽論に通じています。

こうして実証か虚証のどちらかに分類されたあとは不調の原因を探ります。

私たちの体内では「気・血・水」の3要素が循環していて、健康が維持されていると考えられています。

これは五行説に通じるもので、この3要素のどれかが不足したり滞ったり偏ったりすると体に不調や病気が出てくると言われています。

次は体内を流れる3要素を詳しく見てみてみましょう。

気(き)

気とは生命エネルギーのことで、不可視ですが確かに存在しているものです。

元気や気合い、気力という言葉がありますが、どれも生命エネルギーに満ちた「気」があります。

気を高めるのに気功法という方法があったり、太極拳で気を高めるなど気はとても重要なものです。

陰陽論で人体の構成を分けた場合は陽として扱われる部分で、体の各機能を動かして血液や水分の流れをスムーズにする働きがあります。

血(けつ)

血とは文字通り血液のことで、気とは対極の陰となります。

血には全身をめぐって様々な組織に栄養を届けて老廃物を回収する働きがあります。

血虚と呼ばれる病理変化は顔色が蒼白く、めまい、動悸、舌唇の色が淡くなるなどの症状が出てきます。

この血の不調は女性が比較的多く、注意が必要です。

水(すい)

水は津液とも呼ばれ、各内臓や組織器官内の液体と分泌物もこの水に分類されます。

陰陽論では陰に属していて、全身を潤す役割をしています。

水が不足すると口の中が乾燥したり排泄に異常が発生します。

中医学と漢方の違い

ここまで漢方についてご紹介してきましたが、中医学との違いもご紹介します。

漢方は飛鳥時代に中国から日本へもたらされたもので、その後日本国内で日本人によって独自の成長をしたものです。

中国国内で成長したものは中医学と呼ばれていて、実は日本で漢方と呼ばれているものとは若干違うのです。

中医学は漢方の元となった古典を尊重しつつも新しい考え方を取り入れて変容しています。

そのため漢方は中医学の親戚と呼ぶのが一番正しい表現です。

中医学と日本の漢方医学を同じものだと勘違いしている人がいますが、日本人や日本の土地柄に合わせて変化している日本特有のものなのです。

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記事執筆・監修

漢方薬剤師/薬膳料理家/国際中医師/国際中医美容師

大久保 愛

「アイカ製薬」代表取締役。
秋田の自然で薬草や山菜を採りながら育ち漢方や食に興味をもつ。薬剤師となり中国の北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て漢方・薬膳の専門家として商品開発・ライティング・企業コンサルティングなどに携わる。

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