生薬と漢方は別物?混同しないための正しい知識とは
「生薬」と「漢方」の違いはご存知ですか?
漢方と言えば生薬と言った認識でいる方も多いのではないでしょうか。
実はこの2つ似ているようでちゃんと分類されているのです。
そこで今回は、生薬と漢方の違いについて紹介していきます。
生薬と漢方の分類
まずは、生薬と漢方について見ていきましょう。
生薬(しょうやく)は、長年の経験から薬効があるとされた植物の花や葉や根や枝、菌類、昆虫、動物、鉱物などを利用しやすく保存しやすくしたものです。
世界各地に存在する伝統医学は、この生薬を用いられていることが多いです。
この2つ違いを簡単に説明すると、漢方薬は、漢方医学の原則に従い2種類以上の生薬を組み合わせ、分量を守りつくるものです。生薬は、1種類の薬草を表し民間薬と呼ばれることもあります。
医薬品医療機器等法による分類
日本の医薬品医療機器等法によると、生薬は医薬品と健康食品の二つに分類されます。
この扱いは国により異なり、ドイツなどでは医薬品として扱われているのですが、アメリカでは「薬局方」に生薬が収載されているのにも関わらず、生薬自体を医薬品として認めていません。
日本では、「第15改正日本薬局方」により、生薬と生薬製剤および漢方エキスが「生薬等」に収載されているので、「薬局方」に記載された方法で検定したものが医薬品として扱われています。
このことから、全ての生薬が「日本の薬局方」で認められているわけではありません。
具体的な生薬と漢方薬の違い
ドラッグストアや通販サイト、健康食品を扱っているサイトを拝見すると、生薬やお茶の成分を配合している様々な食べ物や飲み物に“漢方”と表記されているものが多くありますよね。
そのため、一般の方が混同し生薬は漢方なんだと勘違いしてしまう方がいるのもしかたありません。
生薬の中でも健康食品に分類されるものしか、このような食べ物や飲み物に配合することはできません。
生薬が配合されていても医薬品である漢方薬とは効果が全く異なってしまいます。
生薬の種類にはどんなものがあるの?
生薬となるものには、植物由来・動物由来・菌類由来・鉱物由来の物があります。
これらの多くは、加工してから薬品に用いられることが多く、煎じ薬、エキス剤、チンキ剤などがあり、原体をそのまま使った貼薬なども中にはあります。
この生薬は天然物を用いるため、同じ植物であっても原産国や栽培方法により効能に対しての含有量が異なるため、同じ植物であってもブランド化され価値も変わってきます。薬用人参で例えると、「高麗人参」と重宝されるものから、「御種人参」と少しランクが下がるようなものなどがあるのです。
生薬から得られた成分で医薬品化されたもので、最も古いものではアヘンから作られた“モルヒネ”があります。
また、生薬の保存に関しては、富山大学が2万6000点以上保存し、世界第一の保存数とされており、、富山大学和漢医薬学総合研究所が生薬、インド医学薬物、チベット薬物、モンゴル薬物、インドネシア薬物、タイ古医学薬物、ユナニー薬物などを保存しているようです。
生薬を知り漢方薬を選ぶ
生薬には具体的に、「陳皮(ちんぴ)、と呼ばれるミカンの皮」や「葛根(かっこん)、と呼ばれるクズの根」、「鹿茸(ろくじょう)、と呼ばれる鹿のツノ」などがあります。
それぞれの生薬には薬効があり、体の疲れを取り元気にさせてくれるような長期間服用しても良いとされる上薬から、病気に対して作用させる含有量を間違えると有毒になってしまうケースのある中薬、長期服用は有毒とされている下薬などに分類されています。
生薬と漢方薬の性質をそれぞれ理解し漢方薬を選びをすることでご自身に合った漢方薬を見つけることができます。
何百年と言う長い月日をかけて作られた日本育ちの漢方医学は非常に優れた学問なのです。