漢方薬と西洋ハーブ医薬品の違いを全て解説!
2007年に西洋ハーブの承認審査ルールが示され、2011年に第一号の西洋ハーブ医薬品として「赤ブドウ葉乾燥エキス混合物」が承認されました。
しかし、まだまだ西洋ハーブ医薬品という言葉は馴染みが薄い存在ですね。
ですが西洋ハーブ医薬品がメディアで紹介されたり、医療機関でもオススメすることが増えてきています。
そこで気になるのが漢方薬とハーブの違いです。
今回は漢方薬と西洋ハーブ医薬品の違いについてご紹介します。
西洋ハーブ医薬品とは?
ヨーロッパでは古くからハーブを医療の現場で使っていました。
近年、ハーブの研究が進み有効性が確立されたものを医薬品として欧州医薬品庁(EMA)が認めています。
欧州医薬品庁(EMA)には、基原植物、有効性、品質管理、製造プロセスなどが明確に規定されています。
この決まりに基づいたものを西洋ハーブ医薬品と呼びます。
西洋ハーブの歴史
西洋ハーブの元となったのはメソポタミアやエジプトなどで使われていたハーブです。
ローマ帝国の拡大などでヨーロッパ全域に広まっただけでなく、イギリスにも伝わったと言われています。
西暦40年頃~90年まで実在していた古代ギリシャの医者であり薬理・植物学者であった「ペダニウス・ディオスコリデス」という人物はギリシア・ローマ中を旅して数多くの薬物を求めていました。
この経験をディオスコリデスはまとめた書物「薬物誌」を後世に残します。
薬物誌は「理論より事実を、書物より自分の観察を重視して編集した」と記してある通りとても実用的な本で1,500年以上の長きにわたり西洋の薬学・医学には欠かせない重要な書物でした。
西洋ハーブ医療が大きく発展するのは16~17世紀のことです。
何度も大流行した黒死病(ペスト)が西洋ハーブ医療の発展に関係していたのではないかと考えられています。
ペスト除けとして利用され、ハーブを中心にスパイスや果実などの成分を溶かしたリキュールが薬用として使用されていた記録も残っています。
そしてアラビアから伝わった蒸留技術を利用し、ハーブなどの植物から精油を抽出する技術も確立します。
精油はのちに医薬品のみならず香水としても利用されて行きます。
ここまでで西洋ハーブについて大分理解が深まりましたね。
次は漢方薬について見ていきましょう。
漢方薬について
漢方の始まりは明確には分かっていませんが、紀元前2世紀ごろと言われています。
現在の中国で誕生しましたが、中国は広大な土地で様々な民族が暮らしていました。
東西南北そして中央と分類されますが、地域によって風土も環境もまったく違うものです。
漢方は様々な地域ごどに独自に発展した医療なのです。
漢方医学の中には鍼灸治療や気功、薬膳、整体など幅広い分野があり多角的にアプローチすることができます。
漢方薬は「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」という書物が元となっています。
この書物は誰が書いたのか、いつ書かれたのか詳しいことは全く分かっていませんが、この書物には1年と同じ数の365種類の生薬について事細かに記されています。
植物・動物・鉱物の中でも薬効作用のある生薬を紹介し、薬効の強さによって下薬・中薬・上薬の3種類に分類されています。
これらを調合することで効果をより高め合ったり、片方の効果を無くしたり、共に効果が無くなったりすることがあるとも記されています。
この本が元となって今の漢方薬があるのです。
漢方薬に使われる生薬とは?
自然由来のものから採取され、その種類は植物のみならず動物や鉱石まで利用しています。
更にそのまま使用するのではなく、その素材を活かすのに一番最適な方法で処理されます。
鉱石の場合は粉末にしたり植物は茹でて煮汁を使用したり、干して乾燥させて粉末にするなどです。
こうして作られた生薬をその人の体質・症状・生活習慣などを考慮してその人に最適な薬を作ります。
では次は漢方薬で使われる生薬と西洋ハーブを比べていきましょう。
漢方薬と西洋ハーブの違い
漢方薬と西洋ハーブの違いはもうお分かりでしょうか。
漢方薬は、一種類の植物を単独で使うことはほとんどなく、決まった配合をもとに数種類を組み合わせて用いることが一般的です。
また、植物だけではなく、鉱物や動物由来のものを使うこともあります。
西洋ハーブ医薬品は、単独で用いることが多く、科学的根拠に基づいたものです。
次は具体的に西洋ハーブ医薬品を紹介します。
西洋ハーブ医薬品の具体例
医薬品に用いられる西洋ハーブは薬用部位や抽出方法、保存の状態などが厳しい規定されています。
さらに用法・用量の規定もあるので指示どうり服用する必要があります。
そんな西洋ハーブにも代表的なものからマイナーなものまで様々な種類があります。
医薬品に用いられる代表的な西洋ハーブを見ていきましょう。
赤ブドウ葉
食用やワインに使用されるヴィティスヴェニフェラ・エルと呼ばれる品種の葉っぱを乾燥させ、エキスとして使用されています。
一般的なブドウよりも色素が濃く赤ワインの色付けに使われるものです。
さらにフラボノイドを含むポリフェノール類がとても豊富です。
1996年にフランスの薬に関する基準書「フランス薬局方」に収載されました。
静脈還流障害の改善があり、足のむくみに効果があります。
足回りがむくみやすい、夕方になると靴がキツイといった症状にお悩みの人はぜひ一度試してみてください。