遺伝子

遺伝子検査の信憑性はどれくらい?受ける前に知っておきたいこと

遺伝子検査は今まで高額な料金がかかるため一般向けに行われていませんでした。

近年になってサービスが充実し、医療機関を通さない遺伝子検査が実現しました。

しかしその遺伝子検査は本当に信憑性があるのでしょうか?

簡単に受けられる程身近になった遺伝子検査に疑問を抱いている方は沢山いらっしゃいます。

今回は遺伝子検査の信憑性について詳しくご紹介します。

簡単に受けられる遺伝子検査とは?

遺伝子検査と言うと採血をして専門機関で詳しく調べるというイメージがあるかと思います。

しかし最近の主流となっている遺伝子検査は「DTC遺伝学的検査(Direct-to-Consumer Genetic Testing)」と呼ばれるものです。

DTC遺伝学的検査は少し難しい言い方ですが、意味は「直接消費者に提供される遺伝学的検査」です。

このようなタイプの遺伝子検査方法を遺伝子検査キットと呼び、インターネットなどで市販されています。

初めての方でも医師や医療機関を介さずに遺伝子検査を行う事が出来る検査です。

そんな簡易的な遺伝子検査で本当に正確な結果が出るの?と多くの人が疑問に思っている事でしょう。

次は遺伝子がどのような仕組みなのかご説明します。
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遺伝子の仕組み

遺伝子検査と言っても遺伝子が何かということをしっかり知っている人はとても少ないです。

遺伝子がある場所はDNA約5%程度の特定領域で、遺伝子は私たちを形成するうえで欠かせない身体の設計図です。

遺伝子は肌の色や髪色、体質など体のあらゆる特徴を決めています。

例えば、日本人は黄色人種でアメリカ人は白人といった違いなどです。

また、アルコールに対して強弱があるのもその人の体質や代謝が関係しています。

では海外の人と日本人の遺伝子情報を比べたときに大きな違いはあるの?と思いますよね。

実は人間同士の遺伝子情報を比較したときに大きな違いはありません。

私たち人間の体は約60兆個の細胞で出来ていると言われていますが、約60兆個の細胞全てに核があり、その核の中には染色体と呼ばれるDNAの集合体が46本あります。

染色体の中にはDNAが保管されていますが、DNAの塩基配列は2重らせん構造で全長が長いため特殊なたんぱく質によって折りたたまれています。

このDNAの塩基配列である2重螺旋構造がとても重要で、全ての人の持っている塩基配列は99.9%同じと言われています。

ですがごく一部の0.1%に違いがあり、その違いによって病気や体質など個人差が作られています。

少しややこしいですが、この0.1%の違いを詳しく解析することで将来かかりやすい病気や自分の体質を知ることが出来るのです。

遺伝子検査キットについて

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遺伝子検査キットでは口腔内の粘膜に含まれるDNAサンプルを使用します。

DNAは全ての細胞に存在しているため、どこでサンプルを取っても結果に影響はありません。

現在遺伝子検査キットを販売している大手企業は「GeneLife」「MYCODE」「HealthData Lab」の3社ですが、3社とも唾液からDNAを解析しています。

検査キットを購入すると専用の唾液採取用の容器と返送用の封筒が入っているため、唾液を容器に入れて返送用の封筒で送れば完了です。

あとは結果を待つだけで、大体2週間程で結果は郵送で届き、会員登録後に会員専用ページでも確認することが出来ます。

病院で検査を受けることなく様々なことがわかると今人気になっているのです。

遺伝子検査キットで調べられること

遺伝子検査はがんや生活習慣病などの病気の発症リスクを調べるものだという事は皆さんご存じですよね。

メーカーによっては100項目以上の病気を調べられる商品もあるほどです。

しかし病気の発症リスクを調べる以外にも遺伝子検査キットでは多くの検査内容があります。

現在販売されている遺伝子検査キットで調べられることを以下の一覧で見てみましょう。

  • 病気の発症リスク
  • 自分に合ったダイエット方法
  • 祖先のルーツ
  • 自分の性格
  • 肌タイプと肌ケアの方法

実は病気の発症リスク以外にもこのような種類があります。

医学的な根拠が低いものもありますが、統計で導き出される結果はある程度の信憑性はあります。

興味を持ったものがあればぜひ一度試してみてください。

結果をわかりやすくするため、必要以上にオーバーに表現しているものが多いので、信じすぎるのも良くないというスタンスも大事です。

遺伝子検査キットのサービス

遺伝子検査キットは安いもので4000円、高いもので5万円を超えるものです。

決して気軽に試せるというものではありませんが、各社が質の高いサービスを提供しています。

サービスの一例をご紹介します。
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常に最新の情報を提供

遺伝子検査の結果は時間が経過すると様々なデータが新しく出てくることによって変わりやすくなっています。

一度検査を受けてまた検査をしなくてはいけないという事を防ぐために一度受けたらインターネット上で常に最新のデータを見ることが出来るようになっていることが多いです。

記載されている内容を月に1度チェックするだけでも健康への意識が変わるでしょう。

一部サービスは有料なのでご注意ください。

アドバイスを行ってくれる

病気にならないためには予防が必要ですよね。

ダイエットも同じように的確なアドバイスが欲しいところですが、遺伝子検査の結果と照らし合わせて最適な予防方法をアドバイスしてくれます。

摂取した方が良い野菜など事細かに教えてくれるのは嬉しいポイントです。

特におすすめなのがダイエット検査で、食生活の改善からヘルスケアまでカバーしており、長期的には一番健康維持に役立つことでしょう。

精神的な負担になりがちなダイエットでは相談フォームを設けている場所もあり、電話やメールでお客様の悩みを相談出来る場合もあります。

スマホアプリでも詳細な体重管理が出来ますので他の遺伝子検査キットと使い分けもしてみてください。

結果が一目でわかる

検査結果を見ても難しくて分からないなんてことになってしまったら検査を受けた意味がありませんよね。

多くの会社ではどのような病気のリスクが高いのか一目でわかるようになっています。

実際にサンプルを目にすると見やすさに驚くほどです。

平均値と比べ、自分が何倍その病気にかかりやすいのかすぐに確認できるため、専門的な知識は必要ありません。

webサイトでも閲覧できるサービスを提供している所であればさらに便利に使えること間違いなしです。

遺伝子検査の信憑性

でもやっぱり気になるのは遺伝子検査の信憑性ですよね、

遺伝子検査キットは専門機関で遺伝子をしっかりと解析・分析し、結果を出しています。

しかし先ほどご紹介した「GeneLife」「MYCODE」「HealthData Lab」の3社でも同じ人物が同じサンプルを送っても結果に違いが出たという報告もあります。

なぜこのような異なる結果が出てしまうのでしょう?詳しくご説明します。

遺伝子は未解明な部分が多い

遺伝子についてはまだ未解明な部分も多く、解析できる個別遺伝子型が限られています。

さらに遺伝子によっては関連した疾患を引き起こすものも確認されていて、複雑化しています。

今後の研究によっては結果が変化することがあります。

多くの人がかかりやすい病気は研究が盛んに行われているため、発症リスクを比較的正しく見積もることが出来ます。

しかし研究が進むにつれて結果が変わったり発表された論文の結果によっても変化することがあります。

そのため今検査を行っても半年後にもう一度受けてみたら解釈が大きく違うなんてこともあります。

日々変化している今のデータの解釈が必ず正しいのではなく、あくまで「疾患の発症リスクが高いかもしれません」という目安なのです。

近い将来にもっと研究が進むことでより確度の高い遺伝子検査が行えるかもしれません。

検査する遺伝子に違いがある

なぜ同じ遺伝子を検査しているにも関わらず会社によって検査結果に違いがあるのでしょう。

それはメーカーごとに解析する遺伝子に違いがあるからなのです。

遺伝子には多くの種類があり、解析する遺伝子の種類・数によって結果に違いが出てきます。

しかし検査している遺伝子が多いから正確な結果が出るわけではないため、どこのメーカーが一番良いというものではありません。

遺伝子検査の目的

遺伝子検査は信憑性が高いとは言えないものです。

これは遺伝子検査が医療行為ではなく、健康意識を高めることを目的としているためです。

医療機関は市販の遺伝子検査キットを推奨していません。

遺伝子検査キットはあくまでも自分に起こりやすい疾患を把握し、予防や早期発見を心がけるためのものとお考えください。

日本で行われている遺伝子検査キットによる検査結果は統計データと照合して、出していることが多いです。

どこでそのようなデータを入手しているのかと言うと、大規模な医学的調査を元に解析していることがほとんどです。そのため、性格診断など、病気と関連の薄いテーマは手薄なことが多いです。

遺伝子検査の注意点

遺伝子検査は病気のなりやすさに有意な傾向があるといったことがほとんどで、現状、病気かどうかをみるものではありません。そのため、診断とは異なるわけです。

不安に思う方もいるかと思いますが、どうしても遺伝子検査を受けたいという方はいくつか注意しなければならないことがあります。

メリットとデメリットをしっかりと把握した上で遺伝子検査を受けるようにしましょう。

遺伝子は個人情報

自分の遺伝子・DNAは個人を特定する究極の個人情報と言われています。

検査に申し込みをする場合は同意書を書いていただき、唾液サンプルと一緒に郵送する必要があります。

同意書を書く理由は万が一問題が起こったときを想定しているのです。

また、他の人とシェアすることも禁止されているため必ず個人で実施するようにしましょう。

安心して遺伝子検査をするためにも信頼性の高い会社を探すことは大切です。

購入する際はご注意ください。

アンケートに答える必要がある

遺伝子検査の結果は統計によるものが大部分を占めています。

運営会社が検査を受ける人を対象にアンケートを実施し、今後の遺伝子検査の成果に結びつけています。

複数の質問に適切に回答することでより正確なデータが出せると共に、今後の遺伝子検査の精度が上がる可能性があります。

自分自身の遺伝型は変わることはないので、それらのアンケートの結果が積もり積もって新しい事実が判明することもあるので、積極的に答える方が将来的にはご自身の利益につながるでしょう。

技術は発展途中

遺伝子検査キットの事業はまだスタートしたばかりです。

遺伝病の診断技術として確立しているものもありますが、リスク判断としての使い方はまだ医療関係者であってもその使い方をよくわかっていないことが多いのです。
そのため、医療のかかわる遺伝子結果はできるだけ医師のいる検査機関を探すことをお勧めします。

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まとめ

いかがでしたか?

今回は遺伝子検査の信憑性についてご紹介しました。

遺伝子検査キットは100項目以上の病気の発病リスクが調べられるものですが、リスクはリスクとして正しくとらえる必要があるものです。

「GeneLife」「MYCODE」「HealthData Lab」の3社を比較しても結果が違うこともありますのでご注意ください。

ただしある程度の目安として利用する分には問題はなく、健康意識を上げるためにも一度やってみてはいかでしょうか。

きちんと遺伝子検査のメリットとデメリットを理解した上でご利用ください。

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記事執筆・監修

株式会社DNA FACTOR 代表取締役

米田 真耶人

DNA FACTOR INC. 代表取締役
2015年5月 福岡に遺伝子検査施設(FUKUOA LAB.)設置し、DTCを中心とした遺伝子解析サービスを行う。自社に分子生物学に精通した現役医師が在籍し解析を行っている。
バイオテクノロジーの進歩に応じた、消費者のライフスタイルやマインドの変化をフォロー(パーソナライズ)することを目指す。また、自社独自の遺伝子データの蓄積分析等、主にドライ研究の実施を行い、研究者支援や子どもたちがバイオテクノロジーに触れる機会を促す活動も合わせて目指す。

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