サイエンステクノロジー, 遺伝子

DNAにおける生物の定義を紐解く

地球上には、ありとあらゆる環境の中で、たくさんの生物が生きています。多種多様な生物には、いくつか共通する特徴があります。ヒト・植物・カビなど、すべての生物に共通する特徴とはどんなものでしょうか??

今では、ヒトのDNA解析も進み、その不思議が徐々に解き明かされています。これらの第一歩。“生物とは?”から考えたいと思います。

生物→多様性

地球と生き物
例えば、紅葉のシーズンに枯れ落ちる落ち葉にも、そこに多くの種類のキノコやカビなどを見つけることができます。木の種類が違えば、これとは違ったものが見つかり、同じ種類の木でも、枯れた葉と緑の葉では、違うものが見つかります。普段、何気なく見ている私たちの世界は、多種多様な生物がすぐ近くに存在しています。

百数十万種の生物には固有名詞があり、名を持たない生物を含めると、地球上には1000万種を超える生物が存在しているといわれています。その個性は様々で、大きさでいうと、数μm(0.001mm)から数十mのものまで存在します。居住環境も様々。森林、草原、砂漠、海の中、土の中、暑いところ、寒いところ、ありとあらゆる環境でさまざまな生き方をしています。

そして、その環境に応じて、水中、陸上、空中など姿形を変え、強く適応しています。

このように、幅広い環境の中でそれぞれの生物が存在していることを、“生物の多様性”と呼びます。

生物の共通性

卵とひよこ
多様性は、生物たちのさまざまな特徴や生活環境のことですが、それとは逆に、すべての生物が“生物”として共通な特徴を伺うこともできます。たとえば、生物は、 “自分と同じ構造を子孫に伝えていく”という特徴を持っています。

そして、このときDNAという物質が設計図のようにはたらき、その形質(姿・形・性質)が親から子、そして子孫へと伝えられていきます。すべての“生物”に「DNAをもつ」といった共通性があることは、すべての生物が共通の祖先から進化してきたことを示しています。

進化とは、生物が世代を経て、長い時間をかけて変化していくことをいいます。そして、DNAを調べ比較することから、それぞれの生物の進化の道筋(系統)を知るための手がかりを得ることができます。

生物は、長い進化の歴史の中で、共通性は保ちながら枝分かれするように、多様化していったのです。多様性でありながら、共通性を持っているということが、“生物”の大きな特徴なのです。

生物の特徴

もし、生物をつくることができたら?生物を深く理解することができれば、それも可能になるかもしれません。しかし、生物を構成する物質を単純に混ぜ合わせるだけでは、生物を作り出すことはできません。

すべての生物には

  • [細胞からできている]
  • [DNAを持つ]
  • [エネルギーを利用する]
  • [自分と同じ構造を持つ個体をつくる]
  • [体内や細胞内の状態を一定に保つ]

といったことが挙げられます。

すべての生物のからだは、細胞膜に包まれた細胞からできています。細胞のない生物は存在しません。そして、細胞の中にDNAが存在し、このDNAに書き込まれた情報がないと細胞は活動できません。

また、細胞内では、光エネルギーを取り入れる光合成や栄養分(有機物)を分解する呼吸など、エネルギーを利用するための活動が行われ、これが生命活動を行なうための基礎となります。

生物は、こうした細胞の活動が基礎となって、自分と同じ構造を持つ個体をつくることを行ないます。(生殖)

細胞の活動を維持するために、下界の変化が起こった時に、体内や細胞内の状態を一定に保とうとするしくみを持っています。このような生物の特徴を深く知るための手段として、生物が共通して持っている特徴(しくみ)の一部を変えてみる実験などが行われています。

そんな研究を通して、現在の生物が持っている共通性の価値がわかります。しかし、その一方で、いろいろな生き物を知るということが生物を学ぶ基礎となります。

生物の多様性

ゾウリムシ

生物の最小単位「微生物」。私たちの肉眼では見えないほどの小さな小さな生物ですが、その姿は、多種多様。微生物の中には、細菌(バクテリア)と呼ばれるとても小さなものが存在しています。

細菌の細胞の構造は、単純なものですが、その生活環境は、想像以上に多様です。細菌を中心に、生物の多様性をみていきたいと思います。

細胞の多様性

肉眼では、ほとんどとらえることのできない、生物のことを“微生物”ということがあります。しかし、一口に微生物といっても多種多様なものが存在しています。

例えば、ミジンコの大きさは、0.5〜3mm、ゾウリムシの大きさは、0.1mmほどです。こうした微生物の多くは身近な、水中や土中で生活していて、比較的簡単に観察することができます。

ミジンコは、わたしたちと同じ、小さいながらも心臓や腸,目といった器官をもつ“多細胞生物”です。多細胞生物のからだは、さまざまな役割をもった多様な細胞からできていて、それぞれが独特の性質をもっています。

一方で、ゾウリムシは“単細胞生物”で、そのからだは,たった一つの細胞からできています。単細胞生物にも様々な種類が存在しますが、その違いはそのまま細胞の違いにつながっています。

たとえば、ゾウリムシのように繊毛をつかって泳ぐもの。アメーバのように這うように動くものといった単細胞生物の特徴の違いは、それぞれの細胞のつくりの違いと深く結びついているのです。

そんな微生物の中で、私たちにもっとも身近なものは、細菌(バクテリア)といわれています。ヒトの腸内や皮膚に存在しているものや、ヨーグルトや納豆などの食品加工に関係するもの。さらには、薬をつくるものまで存在します。

細菌の大きさは、ゾウリムシの100分の1と、とても小さな生物です。そして大きさだけでなく、ミジンコやゾウリムシの細胞中に見られる核がないなど…その細胞の構造に大きな違いがあります。

生物の多様性の背景には、細胞の多様性が広がっているということです。

原核生物と真核生物

顕微鏡をのぞく女性
細菌の細胞には、核をはじめ細胞小器官とよばれるいろいろな構造は見られません。このような細胞を“原核細胞”とよび、核が見られる細胞(真核細胞)と区別しています。

生物全体は、原核細胞からなる原核生物と、真核細胞からなる真核生物の大きく2つに分けることができるのです。

ただし、細胞膜でかこまれている点やDNAをもつという点など、2つの間には生物としての共通性もあります。

動物や植物といった私たちにとって馴染みの深い生物のほとんどが真核生物です。真核生物の細胞中には、さまざまな細胞小器官がそなわっています。

たとえば、後の「遺伝子検査」にも出てくる“ミトコンドリア”は、エネルギーを取り出すはたらきをします。また、植物の細胞には、動物の細胞には見られない、葉緑体が多数存在していて光合成を行い、また、細胞のまわりには細胞壁と呼ばれるは硬い構造がそなわっています。

つまり、動物と植物の間には、細胞を構成する細胞小器官の基本的な違いが存在するのです。

その一方で、原核細胞のDNAは、核膜につつまれず細胞質基質に存在していて、その構造は、いったって単純なものです。このような原核生物ですが、たとえば、高温の温泉中や、非常に強い酸性の場所などの極限とよばれるような環境で生活できるものがいることなど、原核生物は、その能力や生き方の多様性の幅が非常に広い存在です。

遺伝物質をもつ生物じゃないもの

ウイルス
その答えは、「ウィルス」です。ウィルスは、DNAなどの遺伝物質とそれを覆う殻からできています。これは、細胞と呼べるものはなく、その内部では、エネルギーを作り出す“代謝”といった活動を行うこともありません。

しかし、動物や植物、細菌の細胞内に感染し、その細胞のしくみをつかって増殖します。この点から、生物として共通に見られる特徴の一部しか持っていない、生物と“非生物”ともいえない不思議な存在といえます。

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記事執筆・監修

株式会社DNA FACTOR 代表取締役

米田 真耶人

DNA FACTOR INC. 代表取締役
2015年5月 福岡に遺伝子検査施設(FUKUOA LAB.)設置し、DTCを中心とした遺伝子解析サービスを行う。自社に分子生物学に精通した現役医師が在籍し解析を行っている。
バイオテクノロジーの進歩に応じた、消費者のライフスタイルやマインドの変化をフォロー(パーソナライズ)することを目指す。また、自社独自の遺伝子データの蓄積分析等、主にドライ研究の実施を行い、研究者支援や子どもたちがバイオテクノロジーに触れる機会を促す活動も合わせて目指す。

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