体のむくみには漢方薬が最適?詳しい理由とおすすめ漢方薬をご紹介!
朝起きると顔がむくんでいたり、夕方に手足がむくんでしまってはいませんか?
現代人は座ったままのデスクワークや立ちっぱなしのサービス業などむくみのリスクに常に晒されています。
体がむくんでしまうと見た目が悪くなるだけでなく健康面でも不調が出てきます。
そんなむくみを治すのにオススメなのが漢方薬です。
今回はむくみに効果的な漢方薬をご紹介します。
むくみの原因とは?
私たちの体の約60%は水分で出来ていて、水は生きていく上で欠かせません。
体中に張り巡らされている血管やリンパ管を通って全身へ水分が送られます。
そして細胞の中へ水分が取り込まれたり不要になった水分が血管へと戻っていきます。
しかし細胞の隙間にしみ出した水分が溜まってしまうことがあります。
これが一般的に「むくみ」と言われる症状を引き起こします。
座りっぱなしや立ちっぱなしといった同じ姿勢を長時間続けていると心臓から送り出される血液が上手く循環しません。
そのため血管から水分がにじみ出してむくんでしまうのです。
夕方にむくんでいても翌朝には治っていると言う人もいますが、そういったことを繰り返すうちに慢性化して元の状態に戻らなくなってしまいます。
漢方薬がむくみに効く理由
ではなぜ漢方薬がむくみに効くと言われているのでしょう。
それは漢方医学においての考え方が重要です。
人間の体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3種類で構成されていると考えられています。
気とは目に見えないが体を支えている活力のようなもので、気が不足すると元気がなくなってしまいます。
血は全身の組織や細胞、器官に栄養を与える血液を指します。
水は飲食物に含まれる水分のことで、人体を潤すものです。
この3要素がバランスよく整っている人を健康的な人としていますが、このどれか1つでもバランスが崩れると不調が出てきます。
漢方で言う「むくみ」という症状は人体を形成する3要素のうち、気が不足して水が滞っている状態であると考えられています。
この気と水のバランスをうまく調整してくれる漢方薬が一番むくみに効くのです。
漢方薬は自分の「証」で選ぶ
漢方医学では度々「証(しょう)」という言葉が登場します。
むくみに効果的な漢方薬を選ぶ際にも「証」が重要であると言われますが、この証は実はその人の体質・体調・体力を表しています。
漢方薬は様々な種類の生薬を組み合わせて作られています。
当然薬ですから副作用があり、その人の体調や体質を考慮して処方しなければいけません。
この漢方薬を作るときに重要となるのが証で、その人の体調・体質を見分ける言わば「ものさし」のようなものです。
もちろんむくみにもこれは当てはまります。
市販の漢方薬を購入する場合は自分の証を考慮し、自分に一番合った漢方薬を購入しましょう。
むくみに効果的な漢方薬
漢方薬は生薬の組み合わせで作られていますが、むくみに効果的な漢方薬として昔から調合されているものがあります。
漢方薬は漢方専門店に行かないと買えないと思われがちですが、意外とむくみの漢方薬はドラッグストアでも売られています。
自分の症状にあった漢方薬の名前を覚えておくと便利ですね。
それではむくみに効果的な漢方薬をそれぞれ詳しくご説明します。
ぜひ参考にして自分に一番合った漢方薬を見つけてみてください。
五苓散(ごれいさん)
むくみの症状に一番使われている漢方薬です。
利尿作用があるので水分を摂取しても尿が出ない・少ないと言う人に効果があります。
二日酔いや腎臓疾患が原因のむくみにも効果的で、比較的体力が衰えている人でも服用できると言うメリットもあります。
服用すると水分過多によって引き起こされるだるさや頭痛が改善しますのでむくみと併せて頭痛や関節痛に悩んでいる人にオススメです。
さらに胃腸に負担をかけると言われている生薬は不使用なので胃腸が弱いと言う人でも安心して服用できます。
そのほかに体内の水分を調整する作用もあるので熱中症にも使われている漢方薬です。
使用されている生薬
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- 猪苓(チョレイ)
- 茯苓(ブクリョウ)
- 蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ)
- 沢瀉(タクシャ)
- 桂皮(ケイヒ)
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
一般的に水太りと言われる体質で、体が重くて関節が痛いという人はこの漢方薬を飲みましょう。
痛みを取る効果のある生薬も配合されているので肥満による関節痛にも効果があります。
むくみに悩む人の中でも体力があまりなくて疲れやすい、汗をかきやすいという症状が出やすい人にこの漢方薬がオススメです。
使用されている生薬
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- 防已(ボウイ)
- 黄耆(オウギ)
- 蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ)
- 生姜(ショウキョウ)
- 大棗(タイソウ)
- 甘草(カンゾウ)
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
この漢方薬は体力のある肥満体系の人に最も効果があります。
体の熱を冷まして病因を発散させるような働きがあるだけでなく、体の水分循環を改善するとともに便通も良くしてくれます。
肥満症でむくみに悩む人用の漢方薬ですね。
さらにむくみだけでなく生活習慣病である高血圧や糖尿病、腎臓病にもこの漢方薬は使われています。
体力がなくて痩せ型の人とは相性の悪い漢方薬です。
使用されている生薬
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- 防風(ボウフウ)
- 黄ごん(オウゴン)
- 大黄(ダイオウ)
- 芒硝(ボウショウ)
- 麻黄(マオウ)
- 石膏(セッコウ)
- 白朮(ビャクジュツ)
- 荊芥(ケイガイ)
- 連翹(レンギョウ)
など
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
むくみのほかに月経痛や生理不順と言った女性特有の症状に悩む人に特にオススメの漢方薬です。
むくみの場所も選ばず、手足や顔など全身のむくみに対応しています。
身体をお湯のように温める効果のある生薬も配合されているので女性の多くが悩みを抱えていると言われる冷え性にも効果があります。
血行不良や貧血にも良いとされています。
妊婦さんの服用も考えられていて、体に優しい生薬を中心に作られています。
とはいえ、妊娠中の方は医師や薬剤師に相談してから服用してくださいね。
漢方薬以外でもむくみ改善
漢方薬を服用すればむくみは改善しますが、それだけで十分とは言えません。
ではむくみを根本から解決するためにはどうすればいいのでしょうか。
自分の日常生活におけるむくみの原因を解決しなければ常に体に負担はかかり続けます。
まずは自分のライフスタイルを見直しましょう。
デスクワークが多いのであれば1時間に一度軽い屈伸運動をしたりちょっとした移動に階段を使うなど細やかな工夫で改善します。
立ち仕事が多い人はむくみが気になる箇所をマッサージしてあげると良いでしょう。
血行が良くなり正しいサイクルで水分が体中をめぐるので水が溜まる心配はなくなります。
ですが、これだけではまだ十分とは言えません。
むくみ改善方法をより詳しくご紹介します。
ツボ押し
仕事中でもさりげなく行えるのが足のツボを押すことです。
ツボは漢方医学が発祥なので漢方薬と併せて使用することで更なるむくみ解消が期待できます。
ツボを押すことで血液やリンパの流れが活発になるのでとてもオススメです。
足のツボは「かかとの丸く膨らんでいる部分」と「足指の爪の付け根」、「内くるぶしの中央から膝側へ指4本分上へ行った場所」にあります。
ちょっと強く、痛みを感じるかな?くらいの強さで押すと効果があります。
食事に気を付ける
普段からむくみやすい人は塩分過多な食生活をしている人が多いです。
塩にはナトリウムが多く含まれていて、血中でナトリウムとカリウムのバランスが崩れるとむくみが起こりやすくなります。
塩分を控えるのはもちろんですが、意識的にカリウムも摂取するようにしましょう。
カリウムは大豆類、イモ類、海藻類などに多く含まれています。