病気・未病

くらっときたら・・・ふらつき?めまい? その違い分かっていますか?

ふわふわする、くらっとする・・それはふらつきです。

「え?めまいと思ってたけど。違うんですか?」

実は厳密に区別することは出来ません。

実際に多くの人が救急車で運ばれます。が、その症状を聞いてみると、人それぞれ。

めまいがしてふらつくこともあるし、めまいがしてなくてもふらつくこともあるし・・・・。しかし、別にどちらの言葉を使ってもいいんです。

放置して良いものか、注意して様子を見ておくものか、病院に行ったほうが良いのか、救急車を呼ぶのか、この4段階のどこに当てはまるのかを学びましょう。

そして、相手に自分の症状を伝えられるように表現の仕方を覚えましょう。

ふらつきとは?こんな症状

ふらつき

ふらつきは「平衡感覚を失い、足がおぼつかなくなる」症状をさします。簡単に言うとまっすぐ歩けない、おっとっと、ドテ。酔っ払っているときを考えれば分かりやすいですね。

そして面倒なのが「めまい」。回転性、浮動性、動揺性、失神性、いろんなめまいがありますが、患者さんに話を聞いてみると症状が混じっていることも多いです。

救急車を呼んだ患者さんから救急隊は話を聞きますが、その電話を病院の医師に伝えますよね。その電話内容は「回転性めまいです」

こうして病院に到着して細かく聞いてみると実際は失神性のめまいだったりしてもはや「何でもあり」な世界がめまいにはあるのです。このややこしい状況にめまいがおきてしまいそうですね(苦笑)

そしてめまいのせいでふらついた、となると表現はその個人の言語能力にかかってしまいます。

とある田舎のおばあさん「おきたらうかうかしたけん」この12文字でどうでしょうか。「なんやねん、うかうかって。」

紐解いていくと、うかうかは一部地方では「めまい、くらくらする」というような表現として使われています。そして起きたら、を聞いたところ、

「朝起きて、トイレに行こうと立ち上がったところで急に立ちくらみがしてふらふらとしてまっすぐ歩けずその場に座り込んでしまった。」
となるわけです。

つまり、失神性めまいになりかけたことによるふらつき。原因は脱水や消化管出血からの貧血、治療として点滴で水分補給、胃カメラをして潰瘍を止血して、鉄分補給になるわけですね。 

 めまいでも脳血管障害は関係なかった一例ですが、この12文字にそんな世界が広がっているのです。めまいは実に人によって症状の伝え方が違うものと思ってください。

今回は

・ふらつきの原因で多いもの、気をつける症状
・めまいの種類、その症状の正しい伝え方、病院にいつ行くか

を紹介致します。

→めまいについてはこちらの記事にも詳しく記載してあります。
不快なめまい・・・体からのSOSのサインかも!対処法や対策を公開!

ふらつきの原因とは?

ふらつく
ここではふらつきの原因を見ていきましょう!

①体調が悪い

ストレスが溜まっている、朝食を抜いた、睡眠不足によってふらつきは起こる場合があります。もちろんめまいを感じる方もいます。

とくに女性の場合、生理中の出血や、生理前のホルモンバランスが乱れることでめまい・ふらつきが起こることも考えられます。

「検査しても、まず何も異常なところは出てこないだろうな。自分で心当たりがあるな。ふらついてもコケるほどでもないし、休んだりしていればまず治るだろうなというもの」ですね。大した事ないので次にいきます。

②アルコールの摂取

アルコールの飲み過ぎにより血中アルコール濃度が高くなると、平衡感覚を司る「小脳」が酔っ払ってしまいます。その結果ふらつきます。

小脳梗塞、小脳出血も酔っ払いのようなふらつきを生じることがあります。飲酒中のふらつきで救急に来た場合は非常に困りますが、「いつもと同じだけ飲んでいるのに、このふらつきは尋常ではない。」と言うような時は頭の検査を行います。

またアルコールは酔っているときは血圧を下げますので、立ちくらみによるふらつきも重なることがあります。これぞめまいのダブルパンチ。

いつもより多くのお酒を飲んで、酔って、小脳にも酔いが回って、アルコールにより血圧が下がって、サウナに入って脱水になって、立ち上がったら更に血圧が下がって失神する、というトリプルパンチ以上もあります。

この場合は救急車で運ばれてくることが多々あり。頭の検査、血液検査、こけて顔や頭を縫う、という長時間の病院滞在になってしまいます。
 
昼のスーパー銭湯で朝から酒を飲んで、風呂に入っている中年男性が、あまりにお風呂から上がってこない、もしくは脱衣場で倒れるパターンがあります。

③血圧の変化

上でも紹介致しましたが急に立ち上がったりすると、脳に送られる血液の量が一瞬少なくなります。

若くて健康的であれば瞬時に血管の太さを変えて血圧を維持するのですが、加齢・脱水・酩酊(酔っ払い)・動脈硬化・糖尿病では瞬時の調整が十分にできません。もともと脳へ血液を送る頚動脈が細くなっている人は症状が出やすくなります。

いわゆる血圧が下がることでの「立ちくらみ」ですね。立ちっぱなしの朝礼で女子学生が倒れて運ばれるのも血圧が下がる一つの例です。

実際には睡眠不足だったり自律神経が機能していないときに、ふらつきが起こることが多いです。救急医の当直はまさにふらつきが起こることが多い状況ですね。

27時間労働、眠れるのは午前2時半から1時間、5時から1時間、合計2時間。これが週に3回という事があると、最後の方は「なにやってんだろう。こんなことでいいのだろうか。」と実際にふらついていなくても、心の中にふらつきが生じます。

④薬の副作用

持病がある方はその薬の副作用が原因でふらつきが起こってしまうことがあります。

とくに血圧を下げる薬や、精神安定剤、抗うつ薬、睡眠薬や一部の前立腺肥大の薬はふらつきの頻度が高くなります。1つの薬では大したこと無くても、高齢者は6剤以上の内服で転倒のリスクが非常に高くなります。家族の薬を一度見直して、減らせる薬はないか、主治医に相談しましょう。

⑤脱水症状

脱水症状が原因でふらつきが発生することがあります。

体内の水分が6%失われるとふらつきが発生すると言われています。

そんな数字言われても分かりませんよね。「給料の6%が失われると、お腹がグーグーなりやすいです」って言われても分かるかいそんなん!となるのと同じですね。簡単な自覚症状は

・尿が濃い。
・いつもよりトイレの回数が少ない
・そういえば結構前から喉渇いてる

この3つがありますが、高齢者は喉が渇きませんので特に冬場の隠れ脱水には気をつけましょう。

アルコールの摂取による脱水症状についてはこちらの記事にも詳しく書いてあります。
二日酔いの解消・予防法は?正しい知識で二日酔い対策!

そのふらつき・・もしかしたら他疾患の可能性あり!

ふらつく
多くのふらつき、めまいは安静にしておけば良くなるため、病院に来て入院して治ったとしてもそれは薬が効いたわけではないことが多いのですが、多くの人が脳梗塞、脳出血と言った脳血管障害を心配して病院を受診します。

ここでは多くの患者さんが心配するめまい、ふらつきでの脳血管障害と他の重要な疾患を紹介致します。

①脳の病気

まず、めまいとふらつきが発生していて考えられる疾患として「脳の病気」が挙げられますが、具体的な数字をあげて脳梗塞を紹介致します。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/35/2/35_79/_pdf

・脳卒中

脳梗塞と脳出血を合わせて脳卒中と言いますが、血管が何かの原因で詰まり、脳に十分な酸素が行かなくなるものを脳梗塞、脳を栄養している血管が破れて出血して症状が出るものが脳出血と言います。

脳卒中の図
出典:https://item.rakuten.co.jp/kusuriyy/c/0000000526/

くも膜下出血も頭の中の出血ですが、めまいを主訴に来ることは少ないため省略します。脳出血と脳症状、症状だけでは非常に分かりにくいですので画像検査が絶対に必要です。 

頭部CT=すぐに撮れ、時間もかからず、多くの施設にあるため検査しやすい。脳出血が白く写って分かりやすい。時間が経った脳梗塞は黒く写って分かりやすいが発症まもない脳梗塞や小さな脳梗塞は非常に分かりにくい。

頭部MRI=脳梗塞に非常に強い。CTでは全く分からない時間が経っていない脳梗塞でも検出可能。ただしペースメーカーがあると駄目なことがほとんど。時間がかかる上に騒音が激しいので閉所恐怖症の人は無理ということもある。夜間はMRIを撮ることが出来ない施設もある。

・脳腫瘍

頭蓋骨の中に出来る腫瘍で良性から悪性、癌の転移によるものなど様々。めまいを最初の症状で受診脳腫瘍は少なく、朝起きたときの頭痛や痙攣を認めることがあります。

聴神経腫瘍は脳腫瘍の1割程度。人数にすると10万人に1人程度と多くありません。大きくなるとめまいを起こすことが多いですが、最初の症状は難聴や耳鳴りといった耳周りの症状が多いため、

「耳鳴り、難聴があったら早めに耳鼻科で検査してもらう」と言うのが大事です。

②メニエール病

「メニエールと言われたことがあります。」という患者さんは結構多いのですが、色々と話を聞いてみると実は違うなということが結構あります。

実は厳密な診断基準があり、照らし合わせて診断しますが、大事なのは「反復する」と言うこと。ジャニーズの方は「再発」という言葉がありましたね。

「難聴、耳鳴り、耳が詰まる感じを伴うめまいが反復する」です。このめまいはグルグル回るものからフワフワしたものまで様々。ただし持続時間が10分~数時間であることがおおいので

・数秒~数十分なら違うだろう
・1回目ではメニエール病とは診断出来ない
・似ている他の疾患を否定してやっとメニエール病
・耳の症状を伴って何度も繰り返し、更に持続時間は数十分以上なら本当にメニエールの可能性が出てくる。

です。初めてのめまいで病院に行ったらメニエール病と言われた、というのはあれれ?と思ってしまいますね。

③自律神経失調症

強いストレスや疲れがたまると自律神経が乱れ、身体や精神に不調が発生します。

不安や緊張、鬱状態になったり吐き気、全身の倦怠感、頭痛、手肩こり、動機といった症状が現れますが、画像や血液検査では異常がでません。

意外と多いのはストレスからの不眠、睡眠障害がきっかけのめまい。その際に血圧が急に上がってくらっとしたり、全身がかっとなったりする症状を感じる人もいます。

めまいを主訴に病院に来ますが、問診や理学所見で大丈夫だと判断したら頭の検査、血液検査はせず睡眠薬を処方することもあります。食欲や睡眠と言った基本的な生活スタイルが破綻していないかを振り返るところが重要です。

④起立性低血圧症

起立性低血圧症は、急に起きたり立ち上がったりするときに起こるふらつきのことを言います。この起立性低血圧症は、自立神経の一時的な障害が原因で起こります。

入浴後急に立ち上がったときや病み上がりで立ち上がったとき、長時間経ちっぱなしで倒れる若い女性、走って電車に乗ったら熱くて汗かいて気持ち悪くなって倒れる人も低血圧になりめまいで病院を受診することも多いです。

冬場のかくれ脱水、忙しくて水分をあまり取らない人は起こりやすい傾向があります。

⑤更年期障害

更年期障害は動悸、めまい、血圧の異常など、人によって症状は様々。更年期症状の前触れとして、顔が突然熱くなったり、背中や首に汗が流れる症状「ホットフラッシュ」は有名です。

動悸で夜中に救急車で来たり、めまいで来たりするためこの年頃の女性には月経のことを詳細に聞くことがあります。

ふらつきが発生したときの対処法は?

ふらつく
ではふらつきが発生したらどのように対処すればいいでしょうか?

①安静にする

めまいの原因に心当たりがある場合、いつもと同じめまいの場合はまず安静です。

転倒でケガをしないためにも、寝る。土日ならともかく月曜まで寝る、です。

②市販薬を使う

更年期障害によるふらつきには漢方薬が効く事があります。社会生活を送ることが出来る状態なら漢方薬を多数扱っているところで症状に合わせて飲むのもよいですが、一度更年期障害かどうかを婦人科で診断してもらうのも良いでしょう。

③病院を受診する

ふらつきを感じ、思い当たる原因が無い場合は一度病院を受診することをおすすめします。そのときに自分がいつどのタイミングでふらつきを感じたが、しっかりメモして置くことも大切です。

高血圧、低血圧といった原因がある・他にも持病がある方はかかりつけの内科や循環器科を受診しましょう。

原因がわからない場合はぜひ、ふらつき以外に症状がないか確認してください。

例えば呂律が回りにくい、手足の片方が動かない、激しい頭痛という場合は「脳疾患」の可能性があるので神経内科・脳神経外科のある病院を夜間でもすぐに受診。「何時に症状が始まりました。」という厳密な時間を確認しておくことが重要です。(~4時間半までで治療法が変わります)
 
他であれば耳鼻科、問題なければ内科、更年期の方は婦人科など症状にあった科を受診してください。

まとめ

放置して良いもの:明らかな原因の心当たりがあり、休んだら良くなりそうな場合

:二日酔い、仕事疲れ、仕事のストレス、時間外労働が長い、睡眠不足、生理中

注意して様子見ておくもの:いつもなら良くなるはずなのに良くならない症状。高齢者でうまく症状を伝えられない場合。

病院に行ったほうが良い場合:思い当たる原因が無く、最近便が黒かった、生理が激しかった、気づいたら倒れていたことがあった、不整脈と言われたことがある場合

救急車を呼ぶ場合:まっすぐ歩くことが困難で転倒の危険性がある場合。激しい頭痛、手足の麻痺、ろれつが回らない場合

症状の伝え方:いつ頃から、具体的に何をしていたら、どういうタイプのめまいが起こった。めまいだけではなく、一緒にこんな症状もある(頭痛、嘔気、嘔吐、手足の麻痺、ろれつ障害)。

そのめまいは自分にとって大したことないめまいなのか、かなりひどいのか、人生で初のレベルのものなのか。そして起こった時から時間が経つに連れ

  1. 良くなったり悪くなったりするのか
  2. ずっと同じ状態が続いているのか
  3. どんどん悪くなっているのか

ということを伝えましょう。持病と心当たり、飲んでいる薬は必ず伝え、お薬手帳は持っていきましょう。

このような情報が医師の診察に役立ち、必要な検査をチョイスすることに繋がります。

伝え方の例:今日の朝7時頃、目を覚ましてベッドから起きようと寝返りを打ったら急に目の前の景色が横にグルグル回るようになりました。吐き気はその時ありますが、その他に症状はありません。このようなめまいは起こしたことがなく、めまいは数分以内に治まりますが、頭を動かしたらすぐにまた起こります。持病は特にありませんが、アレルギーの薬を飲んでいます。最近は職場が変わって忙しく、ストレスが溜まっておりあまり眠れていません。

これだけでほとんど診断がついてしまいます。上のチェックポイントを見ながら上手に症状を伝えられるといいですね。

以上です。

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記事執筆・監修

救急科専門医/内科認定医/産業医/JMJA公認ランニングドクター・Ai学会施設認定医

黒田 亮太

救急科専門医、内科医として年間5000台以上の救急車を受け入れる病院や救命救急センターで月7回以上の当直を行いながら、当直明けの日には産業医として7社の企業を訪問。
2018年度からは産業医としては10社以上の企業を管理しながら内科医としてクリニックに勤務する傍ら、月に1度のドクターヘリ・ドクターカーの仕事も行う。

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