病気・未病

大人のひきつけ(痙攣)の原因は?対処法や隠れている病気を大公開!

ひきつけと聞くと子供に多いイメージがありますよね。実は私もそうでした!

しかし、大人にもひきつけはあります!

そこで今回はひきつけの定義や大人のひきつけに焦点を当てて代表的なものを紹介します。

ひきつけ(痙攣)は子供だけでなく大人にも!症状は?

ひきつけ
ひきつけとは、自分の意志とは無関係に、手や足、または全身が突っ張る、硬直する症状のことを言います。

ひきつけと痙攣は同じ意味で使われていて、ひきつけは子供の痙攣によく使われる言葉です。

・子供:ひきつけ
・大人:痙攣

と覚えておきましょう!

子供のひきつけは、高熱を出しておこる熱性痙攣が有名ですね。

では大人の痙攣にはどんなものがあるのでしょうか?

ひきつけ(痙攣)の原因とは?

ひきつけの原因
ではなぜ大人の痙攣が起こるのか、その原因を探ってみましょう。

筋肉の疲労

最初は部分的な痙攣を1つ紹介いたします。筋肉は神経の命令から収縮をしていますが、運動して筋肉が疲労すると電解質の異常から突然筋肉が収縮してしまいます。

こむらがえりもこの一種で、指や背中、腹筋にも起こり痛みがある場合もあり、一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

電解質で痙攣を起こす原因としてはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムがありますが、どれが原因とは分かっていません。

最近はマグネシウムが注目され(※12 NielsenとLukaski、2006年)、長距離運動のアスリートにマグネシウムのサプリメントが登場しています。

続いて全身の痙攣を代表的なもの、それもあるのか!というものを紹介いたします。

①てんかん

突然意識がなくなり、全身の筋肉が緊張して固くなり、体が痙攣します。腕を突っ張って痙攣するもの、腕を曲げて痙攣するもの、その他の痙攣様々あり、専門家以外は表現が非常に難しいですが「突然意識がなくて全身を痙攣させている」と思ってください。

この後、全身の力が抜け、いびきをかいて寝るような昏睡期に入り、数分から数十分で目を覚ますのがてんかんの症状としては有名ですが、痙攣しないてんかん、ただぼーっとしている集中力のない子のようなてんかんもあるためてんかん=けいれんではありません。

今までなんともなかった健康な大人でもてんかんになりますので、気づいたら物損事故を起こしていた、ということがあれば要注意です。てんかん発作は睡眠不足が大きな原因となりますので、時間外勤務、夜勤やテスト期間は多い印象があります。

脳梗塞や脳出血、頭を強く打った2年以内はけいれんを起こしやすいため要注意です。

てんかんについてはこちらの記事で詳しく書いてあります。
てんかんの症状や原因は?対処法や片頭痛とも関係あり!

②低血糖

けいれん=てんかんと思っていると見逃してしまいますが、糖尿病の人が薬を飲んでいるけれど食事が不十分な場合、インスリンを打っているが食事のタイミングが遅かった場合は低血糖で痙攣を起こすことがあり、更に手足の麻痺を起こして脳梗塞のように見えることがあります。

まずは低血糖の可能性はないか、糖尿病の薬をご確認ください。

③アルコール依存症

普段しっかり働いている人でも、自宅でお酒をかなり飲んでいる人はある日急にてんかん発作のような痙攣を起こします。

アルコールを多く飲む人はビタミンB1が不足すると起こる脳の病気、B12,葉酸が足りなくなると起こる貧血になりやすいですが、これらが足りていたとしても痙攣がおこることがあります。

入院しててんかんの有無を確認、酒を抜いて様子を見ながら電解質を調整して判断しますのでその場では判断出来ませんが、酒をよく飲む人、というのは大きな情報です。

④血圧の低下

急激な血圧の低下で痙攣を起こすことがあります。朝礼で気を失った人を見たことがあると思いますが、血圧が下がり脳への血流が足りなくなったことで気分が悪くなり、顔色が悪くなり失神、痙攣を起こすことがあります。

てんかんとの違いは横にして血圧が戻ると速やかに痙攣は止まり、意識もてんかんと比べてはっきりしていることが特徴的です。

膝から崩れ落ちる型、立ってていきなりバタン型、座ってても起こっちゃう型があり、座ってて起きる人は運転中に失神する可能性があるため危険です。高齢者では施設で座っていたら痙攣した、という人が時々病院に運ばれますが、検査の結果何もなく帰るということがほとんどです。

注意するべきは脳に血液が足りなくなる原因がある人、貧血と言われたことがある、不整脈と言われたことがある、健康診断で要受診と言われて放置しているひとは要注意です。

⑤髄膜炎、脳炎

髄膜は脳を包んでいるラップのようなもの。脳は豆腐のように柔らかく、豆腐と同じように周囲を髄液という液体が回りを包んでいます。

ここにウイルスや最近が入ると髄膜炎を起こすわけですが、多くは激しい頭痛と発熱で受診するものの、痙攣と意識障害で受診することがあります。

特徴的な所見は首が固くなって頷けない項部硬直というのがありますが、高齢者ではもともと首が硬い人もいる上、発熱していない髄膜炎もあるため熱がない=髄膜炎ではないと
は言い切れません。

髄膜炎の中でも細菌性髄膜炎は病院に着いたら1時間以内に治療を始めないといけないほど超緊急疾患として病院関係者の間では有名です。

最近風邪を引いていた、熱があった、頭痛を訴えていた、なんかいつもと違っていた、という場合はこのことを伝えるようにしてください。

頻度自体は具体的な数字はありませんが、成人で年間数百人と推定されます。
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdf/zuimaku_guide_2014_02.pdf

脳腫瘍:良性、悪性、どちらでも痙攣をおこし得ます。脳腫瘍は人口10万人あたり10~12人とされています。朝起床時に強い頭痛を訴える場合は要注意、食事とは無関係に吐く場合、大人になってから初めてけいれん発作が生じた場合は脳腫瘍の確認が必要です。

⑥心理的要因

てんかんの治療をしても治らない、どうもてんかんとは違う痙攣の症状が続く場合は心理的要因ということがあります。

まずは他の疾患を全部否定してからになりますが、職場や学校でのストレスなど、非常に強い心理的要因がけいれんを起こすことがあるため、なにか状況を知っている場合は病院を受診した場合伝えてください。

⑦破傷風

年に100人ほどですが、見逃せません。土の中、汚染されたどぶ川、さびた刃物に存在する破傷風菌に感染することで起こる疾患ですが、実は運動場やアスファルトなどそのへんにも破傷風菌がいることは分かっています。

このような場所で怪我をしたときに、傷口から破傷風菌が入り感染後1週間~2週間ほどで筋肉が硬直したり、体がのけぞる・痙攣するを繰り返します。

最悪の場合、命を落とすこともあります。破傷風を扱った渡瀬恒彦主演の映画「震える舌」は名作です。最近そういえば怪我した・・・という場合は伝えてください。

⑧肝臓疾患・腎疾患

肝臓が悪くなり、行き着くところまで悪くなった状態を肝硬変(かんこうへん)といいます。

お腹に水がたまり、皮膚が黄色くなったりしますが、「肝性脳症(かんせいのうしょう)」と呼ばれる体の中にアンモニアが溜まった状態になることがあり、ちょっと様子がおかしい~痙攣まで様々な場合があります。

また痙攣を起こすことでもアンモニアは上がるため、アンモニアが高い=肝性脳症ではありません。けいれんで上がったアンモニアはすぐに下がりますが、アンモニアが高いことで起こったけいれんの場合はアンモニアが下がることは治療をしない限りありません。

また腎臓が悪くなると腎不全と言われますが、腎不全が進むと体の老廃物を外に出せなくなり、尿毒症(にょうどくしょう)を起こすことがあります。このときに痙攣を起こすことがあり、透析が必要な場合があります。

「肝臓が悪いと言われていた、腎臓が悪いと言われていた。」という情報は必ず伝えてくださいね。

⑨子癇発作

しかん、と読みます。全身のけいれん発作ですが、話題になった産婦人科医のドラマで知った方もいるのではないでしょうか?

妊娠高血圧症候群という、妊娠20週以降、分娩後12週までに発症した高血圧と蛋白尿を認める病気の方が起こしやすいと言われています。

前兆にめまいや吐き気、頭痛、目がチカチカしたりすることがあるため、その場合はすぐに病院へ行きましょう。

1割は妊娠高血圧症候群が無い方でも起こります。「マグネシウム製剤」という通常とは違う薬剤を使うため、「妊娠しています!」「妊娠高血圧症候群と言われています!」「子供を生んだ後です!」という情報が大事ですから確実に伝えてください。

まとめ

こむらがえりといったありきたりなものから、全身性のけいれんをてんかんと他多数紹介いたしました。 

他にもたくさんの原因がありますが、大事なのは環境(職場での中毒も考えます)や持病の詳細な情報です。

迅速な診断と治療のためにもこんなことを伝えれば簡単に診断してもらいやすくなるんだな、と思っていただければ嬉しいです。

1. こむら返りのような筋肉の痙攣は完全に解明されていないがマグネシウムが話題になっている。漢方薬では芍薬甘草湯が有名
2. 大人のけいれんの代表格はてんかん。低血糖がありえないかをまず確認しよう。
けいれんを起こさないてんかんがあることも知っておこう。
3. 熱があった、頭を痛がっていた、風邪ひいていた、という場合は髄膜を考えよう
4. 朝頭痛がひどかった。若くて健康な人のはじめてのけいれんは脳腫瘍も確認しよう
5. 最近の怪我、肝疾患、腎疾患、不整脈、妊娠出産の有無、心理的な大きなストレスは大事な情報。しっかり伝えよう。

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記事執筆・監修

救急科専門医/内科認定医/産業医/JMJA公認ランニングドクター・Ai学会施設認定医

黒田 亮太

救急科専門医、内科医として年間5000台以上の救急車を受け入れる病院や救命救急センターで月7回以上の当直を行いながら、当直明けの日には産業医として7社の企業を訪問。
2018年度からは産業医としては10社以上の企業を管理しながら内科医としてクリニックに勤務する傍ら、月に1度のドクターヘリ・ドクターカーの仕事も行う。

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