病気・未病

予防が大切!動脈硬化の知られざる真実とは!

「動脈硬化」とう言葉は、一度は耳にしたことがある方も多いと思います。

あなたは「動脈硬化」にどのような印象をお持ちでしょうか?

「年取ってきたら動脈が硬くなるだけでしょ。結果、少し血圧上がって高血圧になるんでしょ?」

このように軽く考えていないでしょうか。

いや、実はあなたの血管、既に動脈硬化は進行しています。表に出てきていないだけなのです。

今回は動脈硬化の知られざる真実を紹介いたします。

動脈硬化をソファベッドに例えて理解!

動脈

「動脈」は大きく捉えて3つになります。

  • 酸素・栄養たっぷりな血液を全身に送る大きな動脈~細い動脈
  • 心臓自体に栄養と酸素を送る冠動脈(かんどうみゃく)
  • 全身から心臓に戻ってくる使い古した血液を酸素チャージしてもらうため、心臓から肺への短い肺動脈。

このうち肺動脈だけは栄養も酸素も無い血液が通っていますので今回は割愛し、大きな動脈、冠動脈を中心に取り上げます。

さてその動脈。庭にある散水用ホースのチューブのようなものですが、生まれた時は新品同様、軟らかくて曲げてもOK。中も非常につるつるで勢いよく流れがよいです。新しいスケートリンクのような滑らかさです。

しかしスケートリンクも滑れば傷がつくもの。年を重ねるだけでも着実に動脈硬化は進むのです。

これから取り上げる様々な原因により進行は早くなり、早い人では30歳を超える頃には目に見えるほど「完成した動脈硬化」が現れます。

つまり動脈硬化は見えた時点で「できあがり」なんですね。それまでに積み重ねた過去の遺産が積み重なった結果なのです。

 ここで動脈を輪切りしてみましょう。実は4層構造になっています。ソファやベッドを考えてもらうといいでしょう。

動脈解剖図
出典 : https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1840

  • 肌触りを決める最重要な要素の表面加工は内皮細胞
  • 普段の衝撃を受け止める表面生地は内膜
  • 分厚いクッションとして衝撃を受け止めるウレタン層は中膜
  • 構造を保つフレームは外膜

こんな4層構造のホースなんです。血液の流れをベッドの寝心地で例えてみましょう。朝起きてすっきり!が最高な状態と考えてください。肌ざわり、広さ、寝返りの打ちやすさは大事ですよね。

表面加工はザラザラに傷つき、禿げたところもあれば荒れてマジックテープのチクチク側のようになった所もある。食べこぼして固まった米粒の塊がついている所も多い、シーツの下には濡れた洗濯物が紛れ込んでいて凸凹で、寝返りを打つのも大変。寝タバコでシーツもその下も焦げたところも無数にある。

こんな状態が「できあがった動脈硬化」です。それでも何とか眠れますよね。寝起きのスッキリさは無いでしょうがとりあえずは眠れているわけです。

しかしこれが進むとどうでしょうか。

「ベッド左半分ちょっと寝心地悪くて既に使えないから右端で寝る。」
「そもそもシングルベッドだからもはや余裕が無くなってきた。」
「寝返り打ったらベッドから落ちてケガした。」
「寝ても全く疲れが取れず、仕事にならない。仕事中すぐ寝てしまう。」

容易に想像がつきますね。このベッドから落ちてケガ=が、日本人の三大死因と言われている、心筋梗塞、脳出血、脳梗塞に大きく関与していると言われています。

動脈硬化は恐ろしい!石の上にも三年?ぬるい意志の上で30年!

心臓
動脈硬化が起こり症状が進行していくと、心臓に大きな負担がかかります。

そのため、心臓の肥大、心不全、弁の石灰化、更なる高血圧症が発生する確率が高くなります。

さらに血管が詰まると、冠動脈なら心筋梗塞や狭心症、頭なら脳梗塞、足なら下肢閉塞性動脈硬化症を引き起こしたり、詰まらないようにパワーを出し過ぎた結果、勢い余ってくも膜下出血や脳出血を起こす危険が高くなります。

動脈硬化が原因で命を落とすこともあるので、たかが動脈硬化を侮ってはいけません。「若いからまぁいっか。」と若い時代に積み上げてきた甘い意志の上の30年を背負って生きていると思って下さい。

「まじか、治したい。どうしようか、どうすればいいのか?こうか?こうすればいいのか?」こう思っていただけたでしょうか。

動脈硬化の治療方法は?

診察する医師
実は動脈効果自体の治療法は確立されていません。

まだまだ分からないことも多く、動脈硬化を改善する特効薬はないのです。

「前を見よ。既に出来たものを振り返るのでは無く、この先に目を向けよ。」

過去30年ではなくこの先30年で出来るだけ動脈硬化を進めない、維持を目指しましょう。

①薬物療法

動脈硬化を引き起こす5つのリスク

・高血圧:何と2018年、最新の論文では「みんな130/80mmHg以下にしなさい」と発表されました(New Engl J Med, Feb.15, 2018)。時代は進化します。今までギリギリセーフのあなたは既にアウト!となってしまうようになりました。

・高脂血症:驚きです。「健康な人は食事中のコレステロールは気にせず食べていいよ!でも健康じゃ無い人は例外。」「実は総コレステロール&LDLは下げた方がいいのは確実だけど、厳密な目標数字は決定出来なかったよ。でも日本人は目標値定めた方が頑張りやすいから目標設定するよ。500人に1人の家族性コレステロール血症の人は別だよ」の2つがあります。薬剤は「スタチン剤」というものが該当します。

・喫煙:血液が固まりやすくなる、総コレステロール&悪玉LDLを上げる。善玉HDLを下げるトリプル効果であなたの動脈硬化を応援します!
1日1箱で虚血性心臓病の発生も1.5倍!周りにいる人も巻き添えに!と悪いことこの上なしです。禁煙が重要なのは言うまでもありません。

・肥満:ぽっちゃり系は肥満でしょうか?具体的に数字で表しましょう。
「BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」です。

新しい肥満度分類
BMI 判定
18.5以下 低体重
18.5〜25未満 普通体重
25〜30未満以下 肥満(1度)
30〜35未満以下 肥満(2度)
35〜40未満 肥満(3度)
40以上 肥満(4度)
※BMI35以上を「高度肥満」と定義

判定にぽっちゃり系はありませんね。逆にマッチョもありません。

体重のみで判定されるため、マシュマロ系もマッチョも同じBMIになることからこれらのみでは判定出来ません。

ただし、BMIで評価する、ということは覚えて下さい。

感覚では多くの太っているな、と言う人は肥満1度、かなり太っているなが2度、そうそう見ないぞと言う人が3度、海外ニュースレベルが4度といった印象です。

肥満があると血中の脂肪は高く、血圧も高く、糖尿病にもなりやすい、という状態になります。

たかが肥満、されど肥満。タバコに次いで肥満は着実に動脈硬化を応援してしまいます。 

薬剤は漢方薬や食欲抑制薬、高度な過多には手術なども存在します。

・糖尿病(特に2型)
尿検査で+になっちゃった、空腹時血糖が高かったけどまぁいいや。と結構放置してしませんか? 

糖尿病は血液中の血糖が高い状態が長期間持続した結果です。なるべくしてなった2型糖尿病は全身の血管にダメージを与えて来ました。

糖尿病は確実に、全身に、そして血圧も脂質も異常にする最悪オールラウンダー。治療は多くの内服、インスリンの注射が存在します。

健康診断を毎年受け、これらの病気になっていないか調べることは大切ですが、引っかかったら放置せず正面から向き合うことが重要です。

まずは、動脈効果を引き超す病気を治療、リスクを減らすことが今後動脈硬化の予防になります。

②生活習慣を改善

動脈硬化の原因となる病気を予防することも大切です。

生活習慣を改善するため、以下の点に気をつけてみて下さい。

1.食生活改善

食生活を見直し、野菜や魚といったバランスのいい食事を心がけましょう。

世界でも「一体どんな食生活がいいんだ」という研究は常に行われています。

アメリカ代表「DASH食」
ダッシュダイエットwiki
TOKIOが関係していそうで関係無い食事が効果的とされています。高血圧予防するための食事、という英語の頭文字ですからバランスが良いはずです。

全粒粉や玄米、野菜も多くて果物も食べる、ナッツを食べて、乳製品も無糖、無脂肪で、脂肪は植物油や魚の油でお菓子や砂糖はほとんど駄目!

これ聞くだけで「そりゃいいに決まっているやろう。」と思いますよね。お金もかかりそうですし、何より美味しく楽しみながら継続が難しいだろうなと感じます。

そして、ヨーロッパ代表の「地中海食」

DASH食に似ていますが、オリーブオイル、チーズ、ヨーグルト、赤ワインもOK、と脂質を許容している事が特徴です。鶏と卵がもともと少ないのも特徴です。

日本でこの鶏と卵が少ないのは継続しづらい点だなとは感じますが、摂取自体は問題なく、薦められている事は嬉しい点です。

いいとこ取りのハイブリッドMind食(マインド食)

地中海食とDASH食を足していいとこ取りして認知症予防にも効果的、という頭文字を取ったら丁度いい具合にMind食になりました。

摂りたい10種、避けたい5種、として摂りたいものは上に挙げたもの、避けたいものは赤身肉、バター、マーガリン、チーズ、お菓子系、揚げ物、ファストフード系といわゆる若い頃は美味しくてたまらないものたちが挙げられています。

しかし、これらは欧米の文化を元にしており、日本の食生活に単純に導入しようと思っても出来ません。もともとの食生活が違うため、切り替えも大変です。そこでやっぱり我らが日本食

古き日本食が健康的、と言うことが分かっていますが食塩が多くその点は改善しなさいと言われています。嬉しいことに1日1個の卵の時代は去り、2個でもいいよ、嬉しいねという時代になっています。

つまり「塩分控えめを大原則。和食中心で卵の量は気にするな、持続可能なスタイルを築こう」です。

これなら「醤油をかけずに」「漬け物残す」「スープは最後まで飲まない」「とりあえず減塩選ぶ」といった、ちょっとした工夫で変えられそうですよね。

2.禁煙

タバコにはニコチンやそのほか有害物質が含まれていて・・・
「知ってるよ。」

では何種類入っていると思いますか? 煙7,TBK48(タバコ48種類)でしょうか?

嫌々違います。

ラッキー7ならぬ、ラッキー7000と7000種以上。そして有害物質は数百、発癌物質はG20ならぬG70(癌70)、つまり70種類と言われています。

これらが血圧を上げ、血管を細くし、血管の表面加工をボロボロにします。

積雪の中でエンジンをつけていると一酸化炭素中毒で亡くなりますが、タバコを吸う人の体は常にプチ一酸化炭素中毒状態。常に体は苦しい状態と言うことを忘れないで下さい。

タバコは百害あって喫煙所の人間関係構築という一利だけです!薬で禁煙治療が可能ですので第1歩踏み出しましょう。

3.酒は血圧を下げる!!が、量は大事。

大量の飲酒は血圧を高くしてしまうため、動脈硬化を引き起こす原因になります。

「そりゃそうだろ、でも飲みたいんだよ」

飲酒と血圧は最適な飲酒量の研究がされています。本当に血圧を上げるのでしょうか? (「河野雄平:臨床高血圧2000;6:14.」より)

実は飲酒をすると、飲んだ後の血圧は下がり、酔いが覚めた昼の血圧が上がることが分かっています。平均すると大して変わらないため「飲酒は酔ったら血圧下げて、覚めたら血圧上げて、平均は大きく変わらない。」とうことになります。

じゃぁいいじゃないか、と思うかも知れませんが、言い換えましょう。「寒暖の差が激しい」と書けば良くないことは分かりますよね。飲酒して入浴したら一気に血圧が下がって失神。酔いが覚めて朝からイライラしたら一気に高血圧。

このことから血圧を考えると飲酒は大きくプラスには働かないと考えられます。

しかし悪者ではないのです。血圧はそうですが、心血管の病気で死ぬ人は減ります。ちゃんと飲んでいい量が研究されています(こちら 「Boffetta P, Garfinkel L: Epidemiology 1990;1:342.」)

心臓にとってはアルコールはかなり飲んでも死亡率は低いのでうれしいですよね。この点では問題ないのですが、脳血管での死亡率が急激に上がります。

脳血管を考えると1日のアルコール量はアルコールで15~30ml、日本酒1合、ビール大瓶1本までが良く、更に癌、事故、その他全部ひっくるめた死亡率で考えるとアルコール45ml/日まで。つまり日本酒2合程度かビール1000ml程度、ワインハーフボトル程度にしておくのが良いとされています。

「うーん、飲み会の時はこれじゃ無理だな。」と言う程度ですが途中から薄めのハイボールや水割りにしたり、ウーロン茶に切り替えたりすることで近づくことは出来そうですね。

4.運動で動脈硬化速度1/3に減少!ちょっと運動よりがっつり運動!

10年間追跡調査で明らかになりました。15METs以上の「がっつり運動する」ことで動脈硬化速度が1/3になることがわかりました。(産総研 動脈硬化の進行度合いの個人差を長期間追跡調査

METsの詳細な表はこちら

どれほどかというと、ややきついジョギングを週2時間半かなり早歩きで3時間です。初心者でいうと30分×5日間、1日4~5㎞のジョギングを週5日、1日10㎞を週3程度になります。
(参考:https://ameblo.jp/sports-and-beauty/entry-12070165156.html

「めちゃ多いやん。」そうなんです。結構運動したほうがいいじゃないか、ということが分かっていますのでこれを機会に東京マラソンにエントリーしたり目標を決めてみませんか?

動脈硬化の真実まとめ

食べ物で動脈を防がれる

  • すでにあなたの動脈は硬化進行中。速度を落とすことしかできない。
  • 血圧を下げよ、痩せよ、禁煙せよ。コレステロールもしっかり下げよ。
  • 食事は減塩!卵の個数は気にするな。あとは健康に良さそうなものを選び、和食中心で意識高い系になるつもりで臨め。
  • 酒は血圧の寒暖差をひどくする。冠動脈にはアルコールが多くても良いが、脳血管には適量が存在する。毎日飲むならビール大瓶1本程度にせよ。
  • 運動は思っているよりがっつりが良い。週に合計2時間半のジョギング以上で1/3に動脈硬化進行速度を遅らせる
  • 健診結果を甘く見るな。ひっかかったらしっかり向き合い、産業医の言うことに耳を傾けよ。

いかがでしたでしょうか。 結構ショッキングな内容もありますが、この先を楽しく過ごすためにも動脈硬化の予防、進行速度を遅らせるためにも、普段からの健診結果や自覚症状のない異常値にも真正面から取り組むことをお勧めします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

記事執筆・監修

救急科専門医/内科認定医/産業医/JMJA公認ランニングドクター・Ai学会施設認定医

黒田 亮太

救急科専門医、内科医として年間5000台以上の救急車を受け入れる病院や救命救急センターで月7回以上の当直を行いながら、当直明けの日には産業医として7社の企業を訪問。
2018年度からは産業医としては10社以上の企業を管理しながら内科医としてクリニックに勤務する傍ら、月に1度のドクターヘリ・ドクターカーの仕事も行う。

関連おすすめ記事

同じカテゴリ新着記事

TOP
何かお困りですか?