子供の可能性を見つける
“子育て”。わたし自身も1児の父であり、それにとって最も大切なことは何か?いつも自問自答しています。うちの子をこのまま自由気ままに育てて良いのだろうか?うちの子は、自分の子だからきっと頭の良い子だと…。滲み出てくる抽象的なエゴイズムを抑えながらも、実体験を通じて“子育て”から学びを得ています。
子どもを持つお父さんとお母さんであれば、少なからず同じような悩みをお持ちだと思います。子育てや幼児教育についての情報が溢れかえるがばかりに、何をどう信じればいいのか疑問に思ったり、不安になったりするのも当然です。
親であれば、誰しも大切な我が子が健康で明るく元気に育ち、保育園や学校では友達と仲良く遊び、力強い社会力で時代を生き抜き、世界中で活躍するような大きな人間になってほしいと心から願うでしょう。
当然、願うだけでは、お星様も手を貸してくれません。
たくましく社会に羽ばたける子どもを育てるには、私たち親の考え方や態度、行動が子どもたちに大きな影響を与えます。
脳科学の世界では子育てのアドバイスとして“子どもの可能性をみつける宝探しをしましょう”と、しばしば言われます。これこそ子どもを育てる最大の醍醐味であり、見逃されがちな重要なポイントです。
お子様にどんな人になってほしいですか?
勉強?スポーツ?文武両道?ポジティブ?仕事ができる?思いやりがあり、愛される…。では、そんな人間に育てていくための何をすべきでしょうか?
プログラミング教室に行かせて、知育玩具で遊ばせて、英会話スクールに通ういながら、スマホで学習アプリを触らせる。多くは、このように幼少のうちから手当たり次第という主流が広がっています。しかし、本質を捉えていないことが多いのです。
学校にあがるまでの時期に必要な教育は“小さな大人”を育てることではありません。
脳科学的には、0〜5歳という時期は“脳の土台作り”を中心にすべきだと言われています。
人間の脳は3歳までに80%が完成
最新の脳科学の研究では、人間の脳は3歳までに80%が完成すると言われています。子どもの脳のほとんどの機能は、3〜4歳までに発達し、一番遅く発達が始まる社交性も、5〜6歳頃までには基礎が完成します。つまり、0〜5歳までが脳を活かす土台をつくることができる大切な時期なのです。
- [子どもの脳機能の発達と年齢]
- 視覚発達:1歳までに
- 言語発達:3歳までに
- 精神発達:2歳までに
- 論理力:2歳までに
- 社会的愛着:4歳までに
- 運動発達:5歳までに
- 社交性:6歳頃までに
- 語学力:4歳までに
脳における子育てで最も大切なことは?それは、[0〜5歳までの間にできるだけドーパミンを出せるようになる]ことです。そのための親子のいろいろな経験が[子どもの可能性をみつける宝探し]なのです。
ドーパミンという言葉を聞く機会は、意外と多いかと思います。ドーパミンは脳内の神経伝達物質で、遺伝子検査の項目としても存在しています。うれしいことや悲しいことがあると分泌されることから“脳内報酬”ともいわれています。
このドーパミンが出れば出るほど、ヒトは、物事に対する意欲が高まり、何事においても積極的に取り組めるようになります。スティーブ・Jやビル・G、マーク・Zなど世界から評価を得た成功者たちは、自分が夢中になれるひとつのことを見つけ、その成功に向かって熱中し、集中してミッションを成し遂げた人々です。
彼らの共通項である、夢中になれるミッションを見つけ、その実現に向けて脇目もふらずに進むことのできる力、それこそがドーパミンによるものだといわれています。
また、天才とは、幼少期にドーパミンを出すサイクルを作り上げていた人と言い換えることもできます。残念ながら、大人になってからいきなりドーパミンのサイクルを身につけることはできません。
夢中になれるものをいち早く見つけ、熱中し、やり遂げていく…。何に夢中になるかは、それぞれの個性によりますが、このような経験を子どものころから繰り返すことで、ドーパミンのサイクルが出来上がっていきます。0〜5歳という
脳を育てる大切な時期に“ドーパミン”に目を向けることで、どんな将来を描くにしても社会をたくましく生き抜ける“本質的なかしこさ”を持った大人に近づくことができます。
今の日本におけるお父さんお母さんは、その愛が故に“子どもが将来苦労しない”方法を英才教育と仮定し、知識や記憶力を高めたりすることに偏りがちなところがあります。
そして、脳を活かすための土台作りにはフォーカスが合っていません。お子様の才能を最大限引き出せる、ドーパミンの分泌・分解という機能は、両親のDNAの中にある設計図(遺伝子)によってお子様に引き継がれ“脳という臓器の本質”を担い、行く末は、将来を決定づけるような本人の可能性を左右するのです。